貞子
最近の日本の天候不良は極端な高温多湿、つまり赤道付近の熱帯、亜熱帯の帯域が日本にもかかる様になって線状降水帯による局所的集中豪雨って言うのはつまりスコールって事だと思うのですが……
まあ、表題と土砂降りで想像つくと思うのですが、さっきの突然の大雨の後直ぐに駅から貞子が乗車して来た。
ノースリーブの白のワンピース、腰に届く位のロン毛。
可哀想に全身びしょ濡れだ。
私の隣に立ちハンドバッグからハンカチを出して懸命に拭いているが小さすぎて役に立っていない。
雨で張り付いて体のラインがくっきりあと見えてしまっている。こんなに濡れていなければ、私に「貞子だ」などと思われることもない美しい女性なのかも知れない。
胸部のたわわな果実もクッキリとそのラインが分かってしまう。
私は吸い込まれそうになるその視線を無理やり剥がして自分のハンカチを下心無し…と自分に言い聞かせて差し出す。
「あの、大変でしたね。良かったらどうぞ」
見下す彼女は少し困った顔をしてハンカチを受け取ってくれた。
ん?
私は中学生から高校生迄走り高跳びをやっていて、一応身長は180cmを超えているので背は低くないハズ。
見上げると、彼女は少しはにかみながら「ぽ」と言った。