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キョンシー
昼に繁華街に出ると、特段観光地として有名ではないこの街にも沢山の外国人が氾濫し、聞こえてくる言語も英語以外の東アジアの国々の言語が多い。
インバウンドだがドリブルバウンドだろうがトラベリングだろうが何でもいいが、飯食う場所が選択肢として無いなと思う。店はあるが入れない。
連日猛暑日でまだ七月だが、昔台湾とかに行った時に感じた「亜熱帯」な感じが日本に居ても感じる様になってしまったと思う。息を吸うと水の中に居るような気分。
涼しい百貨店の地下階層での食事を考えて移動すると、沢山の死体がそこら中に横たわっていた。
冷たい大理石の床に、その床が見えないほど埋め尽くされる死体屍の群れ。
ところが、飲食店から人が吐き出されると、群れの一部が起き上がって吸い込まれていく。
茫然とその光景を見ていてむかーし見ていた、少女がお札を使い、屍を操るドラマを思い出した。
お昼を外でとるのは諦めた。