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社会人の独り言  作者: 黒船雷光


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引っ付き虫

 昭和生まれの人なら、秋口に原っぱで遊んで、衣服にやたら雑草の種子が絡みついて来て、それをあえてぶっつけ合うとかの遊びをした記憶があるのではないかと思う。


 知らない都会の人は、無視してください。


 オオオナモミとかセンダングサと呼ばれる種子に棘がついて種子の拡散を試みる雑草の類は昔よく遭遇したが、最近あまり見かけない…見かけない地域に住んでいるだけかもしれないけど…


 今日は娘と、暑さも緩んだという事で、少し散歩に出かけた。

 猫じゃらしが大量に空き地に群生していて、娘が「ねぇ、おとうさん知っている?猫じゃらしの穂の部分を軽く握ってワシワシってすると手から勝手にはみ出してくるんだよ?」なんじゃそりゃ?


「やってみてやってみて」というので、穂を軽く握って開いて握ってをすると、穂の毛が送り出されて確かに手から逃れようとしているように見える。


「誰に教えてもらったの?」というと、学堂での面倒を見てくれる方が教えてくれたという。

 今どきそんな遊びを教えてくださる方がいるのかと、ちょっと懐かしさと郷愁を覚えた。


 すると、丁度遊歩道の植え込みにセンダングサの種のツケはじめ、花びらが散って種が広がる前の僕らが子供時代に投げ合ってあそんだ引っ付き虫があったので、ちぎって娘の衣服に着けてやった。

 虫だと思った娘は悲鳴を上げ、周囲から白い目で見られて大変だったが……結果的に、正体を知ったその種を面白がって娘から散歩の最中ずっと狙われる羽目に。


 笑いながら私に引っ付き虫を付けては自分は逃げる…を繰り返す娘に微笑ましくなる。


 適当に町内を回って、帰宅する。

 妻が迎えてくれて、運動不足になりがちな娘のために散歩に付き合ってくれてありがとう…と言ってくれて、どういたしましてと靴を脱いで家に上がろうとする私の後ろ姿を見て妻が悲鳴を上げた。


 何だと思って玄関にある姿見で背中を見ると


 引っ付き虫の種がみっしりと背中を覆っていて、私も悲鳴を上げた。

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