公衆電話
今は先日話した「真夜中の車椅子」遭遇の土地から最近引っ越して新天地にて過ごしているのだが、引っ越したばかりで土地勘が無くなったので、妻が「散歩してご近所見て回って把握しましょう」と言うので、一緒に散歩する事に。
まぁ、微笑ましい光景だと思うのですが、日中が暑すぎてムリとなって、日が翳ってからにしましょうと。
引っ越し先は前回が元田畑だったと言う土地ではなく、海が近い防風林の松林の続く裏手の家で、海が近い場所にした。だから何だと言われると、まぁ色々あるぞと。
今回の話は家の近くのことでは無いのですが、まぁ歩いて回れる程度のご近所ではあります。
夜に散歩したのですが、駅の近くでも、夜は早い土地柄で真っ暗です。
それでもバスが通る様なそれなりにの道で街灯もそこそこの間隔で点いているし、妻もいるのでそれなりにに楽しく話しながら歩いていたんですが…
街灯に照らされた道ばかり明るくて、横にある大きな社宅か官舎の黒い四角い巨大なシルエットが見えるのだが、電気が一つも点いていない。そんなモノが視界に入る訳です。
「何コレ」明るく話していた妻がその異様さに気づく訳です。そしてその空き地に入り込む入り口に差し掛かると雑草が生い茂って突き出しており、廃墟と分かる。
道が明るい分その歩道の少し先の境界から漆黒の闇が支配している景観は初めて訪れた場所で無神経に歩いていた我々を萎縮させるには充分な異様な光景で二人を黙らせるには充分でした。
さらに進むと街灯が減り、道も暗くなる訳で…「やばい引き返そうか」となるんですが、スマホのマップではすぐ先に交差点があって迂回出来るからこのまま進もうとなったんです。
引き返すのも怖いですしね。
しばらく進むと信号機が見えて来て良かった大丈夫っ思ったんですが、その手前にポツンと電話ボックスが煌々と光り輝いている。
電話ボックス自体見るのも珍しいけど人気のない通りにコレでもかと言う存在感で光っていると、目立ちますよね?
うわぁとか思いながら前を通り過ぎると、後ろで
ポタリ
ってなにか皮袋のようなモノが落ちる音がする。
数歩進んでから脳が「何か落ちたぞ」と反応して振り返る。
地面に電話ボックスに照らされて私の財布が落ちていた。
ここ数年でただ歩いていて財布を落としたと言う記憶は無い。そもそもズボンの知りポケットに入れているので、感触も含めて無意識に落とすと言うイメージが付かない。
どうして戻るの?と言う恐怖に引き攣る妻の顔。
いや、財布が勝手に落ちたんだ…と言う私。
とりあえず、その後ダッシュで帰宅したのだが、土地勘ない中どお帰ったのか覚えていない。




