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女郎蜘蛛
通勤電車の車中に巨大な女郎蜘蛛が居た。
ソイツは移動中て揺れる社内を細い手足を巧みに使い、吊り革を掴んで揺れに合わせて移動する。
この電車はよく揺れる。だから、運行中に移動する乗客はほぼ居ない。立っている客は吊り革か支柱を掴んで揺れに耐えている。
そんな間を巧みに移動する姿は異様だ。
口の中から乱杭歯がはみ出しシューと音を立てている。
八つある目はどこを見ているのかさっぱり分からない。
車中を彷徨き、獲物を物色しているのだろうか?
恐ろしい。
私は目を合わせない様にスマホに向かってこの文章を打っている。
すると
シューと言う音が私の隣から聞こえる。
ちょあわかまは。わ、