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華音の理由
そして、自嘲気味に笑う。
「ここに居る限り、他の仕事なんて探しようがない。でも、外に出て行けば、なんでも自分のやりたい事ができるし、友達も恋人も見つけて、好きな時に旅したり引越したり……普通の生活できるわけ。そんなわけでね、残ってるのなんて、みんな変人。あのサンドラと友達になれるようなアホか、ここの仕事が天職だと思ってるバカしかいないんだよ」
「華音先輩は、どっちなんですか?」
「はあ? ……華音?」
真央は、しばしポカンと口を開け、それから面白そうに笑って言った。
「ふふ……違う、違う! あいつの場合は、もっと現実的!」




