83/146
昔のキャスト
「だったら、俺らみたいの、もっと沢山いるってことですよね?」
「そうだよ。沢山いるよ。でも、ここにはほとんどいないよ」
その言葉に、睦月は思い出す。
「そう言えば……昔はもっと、別のキャストもいたような気が……」
「ふうん。例えば?」
「顔を包帯でぐるぐる巻きにしてる手品師とか」
「透明人間役の時任零児」
「犬のパペットをたくさん持ったお姉さんとか」
「スキュラ役の水沢ヌイ」
「妖精のコスプレをした、双子がいたような気がする」
「それは、ボクらだ」
「ボクら? どういう……?」




