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感覚
睦月はベッドの隅で枕を抱え、毛布を身体に巻きつけ、鳥肌を立てて震えていた。
風呂場で首が落ちた後、華音の悲鳴を聞きつけて、仕事に戻ろうとしていたニマが戻ってきた。それからフロアにいた芽衣子を呼び、三人がかりで華音の部屋へと動かぬ身体を運び、ニマが首を縫い直したのだ。
恐ろしいのは、その間中、ずっと意識があった事だ。
首の骨が差し込まれる感覚、皮膚が引っ張られる感覚、プツプツと針で穴を開けられ、糸が通る感覚。そして神経が繋がり、体が動くようになった瞬間の感覚……そのどれもが、おぞましい記憶として残っている。
ちなみに、睦月の裸体はその間、芽衣子によって興味深そうに仔細に観察されて弄ばれていたが、そんな事はゴミ箱に捨てられてる餃子ドッグの包み紙くらいにどうでもいいと思えるほどに、衝撃的すぎる出来事だった。




