55/146
小柄なフード
壁に掛かった時計を見ると、昼の十二時半だった。
華音は、一緒にお昼を食べようと言っていた。屋台を担当している彼女は、昼時が一番忙しい。そして、二時近くに休憩を取り、三時にまた屋台へと戻る。
もっとも、ワールド内には飲食店も多数あるので、必ずしもその限りではないが。
昼食の前にさっぱりしたくなって、睦月は風呂へと行くことにした。
「それじゃ、ちょっと汗を流してきます」
芽衣子と別れ、風呂場へと向かう。
通路で、フードを被った小柄な人物とすれ違う。頭からホコホコと、フード越しに湯気が上がっていた。確か、カロンの船守のキャストだったはずだ。
挨拶をしようと思った時にはすでに遠ざかっていて、睦月は諦めて風呂に入ることにした。




