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小児科の待合室とかに置いてある砂鉄で絵を描くボードのアレ
それを見て、なるほどと頷く。
「ああ! あれ、すごい血でしたものね」
ついで、芽衣子は睦月の服をみて、また文字を書く。
『詩桐のジャージ サイズは平気?』
「これ、詩桐さんのジャージだったんですか。ぴったりです」
『首、平気?』
「……ええ。痛みはありません。それより、汗かいちゃいました。シャワールームに行きたいんですけど、更衣室ってどっちですか?」
芽衣子は、少し考えるそぶりを見せた後で書いた。
『おフロに入ってきたら?』
「おフロ?」
『ここの住人はおフロつかえる つきあたりを右へ』
指し示す先には扉があった。
「……勝手に使って、問題ないんでしょうか?」
『大丈夫 温泉宿といっしょ』
三本波線に楕円形……温泉マーク付の文字。二十四時間、自由に使えると言う事だろう。




