決断
ふてくされたように和服は続ける。
「本当にこいつのためを思うなら、今すぐ楽にしてやるべきだろ? どうせ、このままじゃ死んじゃうんだ。万が一助かっても、意識が戻るかわからない。半身不随になるかもしれない。だったら、ここでトドメを刺すのが人情じゃないか」
と、獣耳が和服から包丁を奪いつつ、言った。
「確かに、言うとおりだよ。このまま、死ぬまで放っておく方が可哀そうだ。どうしても辛いなら、オレがやる。……オレも自分の言葉に、責任を感じないでもない」
フードが、睦月の首をぐるりとなぞった。
「ここ」
そこを、切れという意味らしい。
蝙蝠羽がキョンシーの肩を抱いて、引き離そうとした。だけど、キョンシーはどかない。
「……待って」
キョンシーは立ち上がると、獣耳の手から包丁をそっと取り上げる。
「あたしが……やるから」
そう言うと、大きく包丁を振り上げて、力一杯に睦月の首へと叩きつけた。
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