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責任
気の毒そうに、獣耳の人影がおずおずと言う。
「なあ、元気出せよ。きっと、大丈夫だって」
「……ムーちゃんは普通の人だから、狙われないって……思ってたのに……」
和服が、からかう様に言う。
「そうだぞ。誰かさんが、人手が足りないんだから睦月も呼んで来いって言い出さなけりゃ、死ぬこともなかったのにねえ」
「オ、オレは、またぞろオレらを標的にした、宗教がらみじゃねえかって言っただけだよ!」
その言葉に、獣耳が後ずさりつつ反論する。と、巨大な人影が進み出た。
「兄さん! やめなよ。こんなの、誰のせいでもない。そうだろう?」
蝙蝠羽も頷く。
「そうですよ。喧嘩はやめましょう。……オーナー、まだ帰ってきてないんでしょう?」
その時、睦月がゴボリと血を吐いた。悲鳴をあげて、キョンシーがすがりつく。




