復活の夜
冷たい雨が降り続いていた。
氷混じりの、凍てつくような雨だった。
その雨が土を流し、押しのけ……半ば埋もれていた真っ黒な棺を露にする。
暗い闇の中、ざらり、と。
その棺の蓋から、白い手が這い出してきた。
さあさあと冷たい水流が隙間に流れ込んでいく。
その隙間を押し広げるように、そこから少女が身を起こした。
血に塗れて変色した白いワンピースを着た、長い黒髪の少女だ。
その右目は、黒くて。深くて。
大きく引き裂かれて。
ただ、闇がわだかまっていた。
氷雨の中で、少女は笑う。
心から嬉しそうに、楽しそうに。
いつまでそうしていたのか……ふと気づくと、雨は上がっていた。
空には病的なまでに細くやつれた月が光っている。
少女は、棺の中から何かを掴み出した。眼球だ。
彼女は、右目の闇に眼球をはめ込む。
それは何度かピクピクと痙攣すると、ギョロリと動いて前を見据えた。
少女はふらりと立ち上がる。そして、喉の奥でくぐもった声を上げた。
その声は、大きく開いた喉の傷から、笑い声として低く響いた。




