表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結までほぼ毎日更新】超巨大テーマパークで働いたら連続殺人に巻き込まれました。怪奇と幻想『ストレンジ・ワールド』へようこそ!  作者: 森月真冬


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

139/146

 なんて、物騒な事を考えていた、その時。


 ぶわっ!


 背後からミルク色の塊が押し寄せ、視界を一瞬で埋め尽くした。

 睦月が驚いて辺りを見回していると、華音が小さな声で呟く。


「これ……霧だわ」


 いつもの霧の何倍も濃い。辺り一面に広がった霧は、月も、ドゥンケル城も、地に伏したケンゾーや五条の身体さえも、そのヴェールでぼやけさせる。人工噴霧機の音はしない。


 さく、さくさく。どこかで薄氷を踏むような、そんな小さな音がした。

 けぶる視界の中に、スミレ色のスーツの金髪碧眼が姿を現す。サンドラだ。

 左手には何か小さな物を持っていて、そこから霧が溢れ出ている。すぐ近くでシュウシュウと、水が沸騰するみたいな音が聞こえた。

 見ると、自分のわき腹から、赤い水蒸気のような一筋が立ち上っている。

 それに合わせて痛みさえも霧散していく。それは、睦月の身体だけではない。


 白一面の視界の中で、鮮やかに真紅の霞が幾つも噴き上がる。地面に広がった血溜まりや、五条やケンゾーの身体からだった。

 同時に、夏場のマンホールに落とした水滴みたいに、地面の血がものすごい勢いで干上がっていく!

 そうして、完全に血の跡が消えたのを確認すると、サンドラは、スタスタと五条の首へ歩み寄る。

 と、それを右手でひょいと掴み上げた。


「霧が消えたら、痛みが戻るわ。医務室に痛み止めがあるから、飲んでおきなさいね」


 それだけ言うと行ってしまった。睦月と華音は、呆然とその背を見送った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
結局のところ、五条は何だったんでしょうね... そしてサンドラ! あのミスト、一人一本持たせた方がよくないか...?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ