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一撃
睦月は大きく頷くと、前へと歩を進める。
そして華音の後に立つと、高らかに叫んだ。
「先輩! あとは俺に任せてくださいっ!」
「ムーちゃん……っ!」
華音が弾けんばかりの笑顔で振り向いた。髑髏の面……リアルな目玉へと、彼女の視線が注がれる。
次の瞬間。ドガァッ! 思いっきり腹部を蹴り飛ばされ、睦月は地面を転がった。
「げふうっ!」
倒れ伏す睦月を、怒りに震える華音が見下ろす。
その背後には、彼女にすがりついて、この世の終わりみたいな泣き声をギャンギャンあげる女の子の姿があった。




