バカのゲームの評判どう?~彼氏が作ったバカゲーに転生した話~ 後編
そして、私の冒険は、後半へ進んでいきます。
先ほどので、2面はクリアのようです。
私は、橋の上を進んでいきました。
次の面は、黄色いエリア、『3』と書かれています。
―――[3面、『黄色』] ―――
そして、敵が、現れました。
[満潮で 海が あらわれた!]
目の前に、海が広がりました。
橋を飲み込んで、目の前が、ぜんぶ海になりました。
うわー。
大きいなー。
すごいなー。
黒いお城も、見えなくなって……
「じゃなくて!!!モン・サン・ミッシェルですか!?」
「モン・サン・ミッシェルですら、ここまでは沈みませんよ!?」
とはいえ、海が"敵"なのですから、戦わないといけません。
[シオリ の こうげき!]
[ばちゃん!海は しぶきを あげた!]
[シオリ の こうげき!]
[ぼちゃん!海は しぶきを あげた!]
うーん。そりゃあ、そうですよね。
”海そのもの”と戦ったら、そうなりますよね。
他に、やれることといえば……
[たたかう ▶ステータス]
[みかた ▶てき]
[海:]
さっきの妖精三銃士と違って、そもそも入力していないみたいです。
作りが雑。
いくら母なる海でも、そこまでは飲み込んでくれないと思います。
あとは……
[たたかう ステータス ▶アイテム]
あっ……もしかして……
[シオリは モヤモヤ を ぶつけた!]
[シオリは モヤモヤ を ぶつけた!]
[シオリは モヤモヤ を ぶつけた!]
[シオリは モヤモヤ を ぶつけた!]
[シオリは モヤモヤ を ぶつけた!]
[海は 引き潮で 帰っていった!]
海のバカヤロー!
って、今どき、あんまり、やらなくないですか?
でも、これでクリアみたいです。
潮が引いて(?)黒い城が、また、目の前に現れます。
……黒い城の中にまだ誰か残っていたら、
ザ・ドザえもんズになっていませんかね?
……次、行きましょう。
◇◇◇
―――[4面、『緑色』] ―――
冒険を進める私の後ろから、誰かが歩いてきました。
「勇者シオリよ。がんばっているかね。ここからは、私、王が、手を貸そう。」
[王様が なかまに なった!]
えー!こんなとこまで王様自ら出張っちゃうんですか!?
あ、でも、王様ですから、きっと強いんですよね。
[▶ステータス]
[▶みかた てき]
[ シオリ ▶おう]
[HP 1穣/1穣 スキル:専用スキル【王たるもの】]
「穣!?じょう……って読むのかな?」
「……。」
「なんですかこれ!?」
「実在する単位なのかどうかも、庶民の私にはわかりません!王の器過ぎます!」
……あ、でもね。
単位はわからないけど、これだけHPが多かったら、回復役とか、戦線維持役で、普通にRPGなら役に立ちますよね。
後は専用スキルって言うのがあるみたいなので、見ておきましょう。
[専用スキル:王たるもの]
[王以外が全員死んだ場合、ゲームオーバー。]
[国王の命とは国の命、すなわち、国の宝、民そのものだからである。]
「HPが無駄過ぎるー!!!せっかくの器が無意味!!!」
「あと、思想が強い!」
「ゲームや漫画に載せる作者の思想はだいたいノイズ扱いされるんです!」
「ついでに、なんか良いこと言った、風な書き方しないでください!」
◇◇◇
―――[5面、『青』] ―――
黒い城から、小さい魔物……たぶん、RPG的に言えば、ゴブリンが出てきました。
「よくここまで来たな、勇者よ。私が、ラスボス。名前は、ランシーである。」
「なんでそっちも出張っちゃうんですかー!?奥の方で鎮座していてください!」
「でも、水死体になってなくてよかった!!!」
で、このキャラだけ名前を名乗るんですね。ランシー。変な名前。
「……?」
ふと違和感があって、私はここまで来た、数字の書かれた道を振り返りました。
「赤、橙、黄、緑、青……。」
そして、再度お城の方を向いて……
「ランシー。」
ああ、なるほど。
もうちょっとなんとかならなかったですか、先輩。
そんな私をよそに、ラスボスのゴブリン、ランシーさんは話を続けています。
「ここまで来た勇者の勇気に免じて、私も、民を困らせることは、もうやめにしよう。」
えっ?チョロ。
そんなことあります?
「ひいては、今、国民に課している消費税1,000%をやめて……」
ちょ、ちょっと待って。
王様、財務を外注してるの?
っていうか、この黒い城自体が、なんかの省庁だったってこと?
で、税金も高すぎます。
KEI ZAIが壊れそう1000% TAX。HEY♪
「これからは、消費税100%としよう。」
まーだー100%取る気!?もう頑張るしか無いさー♪
いよいよ疲れてきた私のツッコミが替え歌になってきてしまったところで、
このゲームはハッピーエンドで終わるみたいです。
[こうして 勇者シオリの活躍により 世界は 守られた。]
[終]
◇◇◇
次に私が気づいたときには、翌朝、先輩と一緒に学校へ登校している最中でした。
あ、あれ?異世界は?と思ったんですけど
もしかするとアレは夢だったのか……。
それとも、ゲームの出来があまりにあんまり過ぎて、気を失ってしまったのか……。
なんだかよくわかりませんが、一緒に歩いている先輩が、こう尋ねてきました。
「しーちゃん。」
「ねぇ、ゲーム、面白かった?」
わたしは答えました。
「うん、面白かった……ですよ?」
続けて、先輩を傷つけないように、耳元で、こっそりと。
「でも、先輩がやりたいのは」
「ゲームづくりじゃなくて、お笑いなんじゃないですか?」
[バカのゲームの評判どう?完]
ここまでお読み頂きありがとうございました。
よろしかったら、評価をお願いします!
以下宣伝。
もうちょっと長めに、もうちょっとシリアスに書いてる私のオススメ作品
https://ncode.syosetu.com/n2139kd/
なろうモノ嫌いの異世界記
も、是非よろしくお願いします。