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異世界は厳しいものだと思います。

神様が開いた門を潜る瞬間、目の前が真っ白になった。そして、地に足を着いた状態になってから、しばらくすると視覚も戻ってきた。

視覚の戻った俺の前には見たことも無い街の風景が広がって…広がって…ねぇじゃん。

あっれれー?おかしいな?

おっといかん、つい現世で読んでいた漫画の口調が出てしまう。生徒にはそういったのも人気だったが、やめておこう。

そして俺は自分の服装を見て、ここが異世界なのを確認した。神様のサービスかな?俺の服がそれっぽいものになっていた。中でもマントはすごく嬉しい。だってかっこいいじゃん。

服の確認をしたあと、俺は再び辺りを見渡した。

…てか、どこだよここ。いや、まあ見たらわかるんだけどね?ここ絶対森の中とかだよね?

目の前には大きな木々が林立していた。右を見ても左を見てもそこには木しかない。

俺が子どもの頃に読んだ異世界ものは大抵中世ヨーロッパ風の街が描いてあったので、誰も見たことがない異世界はそういうものだと勝手に思い込んでいた。

まあ、所詮こんなもんだろう。都合良く街に送られるなんてことがあるほど甘くない。これが神様のミスでないと信じ、立ち止まっていても仕方ないので街をめざして俺は歩き出した。

ん?街の場所がわかるのかって?知らん!

適当に歩けば何とかなるだろう。なんせ丈夫な体があるのだ、飲まず食わずでも寝なくても大丈夫だろう。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



はい、俺が馬鹿でした。歩き始めて2時間くらいかな?もうヘトヘトだし、喉乾いたし、腹減って死にそうだわ。

あー、異世界辛ぇわ。丈夫な体?どこがだよ。神の恩恵全然受けてる気しねぇわー。

もうその辺の木にでも齧り付いてやろうか、なんて考えながら俺は木陰で休んでいた。

木陰で休んでいた俺は気を紛らわすために神様の祝福であるアイテムボックスを見た。するとビックリ、アイテムボックスの中には0の数なんと22個、その額にして百垓円。この世界の通貨の呼び方が何かは知らないけど、とりあえず俺は慣れ親しんだ円と呼ぶことにした。…いや、神様奮発しすぎじゃね?垓て、興味本位で数字の桁調べたやつか、理数学系に関係ある仕事をしている人しかわからねぇだろ、これ。俺は前者に当たるんだけどね?

てか、そうか。あー、これはあれだな。こっちを奮発しすぎて体の方の恩恵忘れちゃったパターンのやつか。

でも虚しいな。これだけの金があるのに食べるものや飲みものを買う場所がないというのは。せめて水だけでもどうにかしたいんだけどな。


そして俺はもう1つの祝福を思い出した。そう、莫大な魔力。魔法があるこの世界で俺は莫大な魔力を有している。ならば、だ。やるぜ、俺は。魔法を使ってやるぜ!



「ハァァァァァアアアアアア!!!!」




しかし何も起こらない。

ですよねーー。いや、もちろんわかってましたよ?だって俺魔法見たことも聞いたことも使ったこともないもの。

やり方なんてわかるはずないし?そもそも適当にどうにかなるわけないよね。うん、知ってた。

ほんと神の祝福全然役に立ってねぇよ。


仕方ない。そう思った俺はとりあえず川を探すことにした。森の中だし、多分あるだろ。

俺は再び歩きだし、あることに気がついた。


俺、若返ってるとは思ったけど、めっちゃ若くね?神様に年齢のこと聞かれたけど何も答えていなかったことに気がついたのだが、多分気を使って丁度いい年齢にしてくれたのだろう。これはありがたい。なんならアイテムボックス以外の祝福よりありがたいかもしれない。

流石に40歳中年のままだったら何もできねぇしな。20代前半くらいだろうか、飲まず食わずでも歩き出せたのは不幸中の幸いだろう。


それから小休止を挟み、約5時間、俺は川を見つけ…てないんですよ、これが。

歩けども歩けども川はない。

この世界はそうとう厳しい。いや、日本の山奥でもそうそう川は見つからないか。

なんだよ、川くらいあれよ。この雄大な大自然はどこから水を得て成長してんだよ、ちくしょう!そんなことを考えながら俺はまた歩き出した。

そして、日が暮れる直前、俺は本当にやっとの思いで川を見つけた。

川の水を掬ってみると、綺麗に澄み切っており、とても美味しそうに見えた。

てか、美味しかった。え?危ないって?あれだけ喉が渇いていたんだよ?見つけたらすぐ飲んじゃうでしょ、普通。

川の水で喉を潤した俺はふとあることを思った。

この世界には、人が居ないのか?と。いやいや、絶対居るんだろうけどね?だって、神様言ってたし。助力して頂きたいのですって。する気はないんだけどね?

それにしても、これだけ歩き回ったのだから1人くらい居てもいいんじゃね?とか思ったりもする。

すっかり日も暮れ、上には満天の星空が見える。テントなどの道具がない俺は大きめの石を均等な高さになるように並べてその上に横たわっていた。

装着していたマントをはずし、掛け布団のようにしていた。

並べた石の上でマントをかけて寝る俺は、酔い潰れて公園で寝るサラリーマンに似ているんだろうなと考えていた。


異世界初日は今俺の横を流れる川を探すだけに終わってしまった。

明日こそは人に会ってみたい、そう願いつつ目を閉じた。


ぐぅぅぅううう〜。


腹減ったな。明日こそは絶対に人と会ってその人から食糧をいただくっ!!!

おっと、言い方が悪かったな、これはうっかり。

しっかり買い取らせてもらいますよ、もちろん。だってお金には困ってないもの…。




ー翌朝ー


目が覚めた俺は驚いた。体が痛くない。というか、足も全然痛くない。昨日は10数時間歩いたのにも関わらず、一切筋肉痛でない。

これが神の祝福の力か。

…神様、昨日は役立たず的なこと言ってすみませんでした。


と、神様にきちんと謝罪をした俺は川の水を再び飲み、その後進路を決定した。

そう、俺が向かうのはこの川の下降。流れている方向だ。

川に沿ってあるけば喉が渇くこともない。俺って天才?なんて冗談はさておき、俺はまた歩き出した。

間違っていたらどうするのか?だって?んなこと知らん!

第一、初日は川を探すだけで終わったんだ。なら、片方の方向に3時間くらい歩いても街が見つからなければまた戻ってくればいい。

俺はそんな感じでまた進み出した。


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