第2話 呪文
そういえば、砂漠に来たのは生まれて始めてだな、ラクダに乗りながらふと、そんなことを考える。
ナジャムの提案により、とりあえず近くの街まで送ってもらうことになった。
今はナジャムのラクダに乗っている。
「これから行くのはアルドバリスタン、この大陸で2番目に大きい街だ。ギルドの支部もあるからあんたの働き口もきっと見つかるさ。」
「ギルドって?」
「国と国をつなぐ巨大組織だ、種属や国を問わず誰でも会員になれる。会員になればギルドから仕事を斡旋してもらえるんだ。どれだけ稼げるかは成果次第だな。」
ハローワークみたいなものだなと密かに思った。
「見えてきたぞ、あれがアルドバリスタンだ。」
ナジャムの指差す先には、周りを石の壁で囲まれた大きな街があった、壁の上には…砲塔だろうか、大砲のようなものが等間隔に並べられている。昔みた戦艦大和の砲塔に似ていると感じた。
「凄い…」
こういうものを見ると改めてここが異世界だと実感する。
「直径15000フィート、壁の高さは30フィート、昔は戦争で使われていた基地だったが、今はあの通りだ。いい街だよ、きっと気にいる。」
町に入ると、そこは活気に溢れていた、色とりどりの建物、大通りの両端には様々な出店が立ちならび、嗅いだこともない美味しそうな匂いが漂っている、また、道を行き交う人々の中には頭から角を生やした大男、蛇のような女、そして、ゴーレムというのだろうか、某RPGで見たような人型の石が歩いている。
周りを見渡しながら歩いていると、ナジャムに手を掴まれる、
「しっかり着いてこい、はぐれると二度と会えなくなるぞ。」
しばらく歩いていると広場に出た、中央には何やら開いた本を掲げている男の銅像がある。
「あれは何?」
「ああ、フーデニー様だよ」
「フーデニー?」
「100年ほど前にいた魔術師で、魔族の侵攻を一人で食い止めたお方だ。史上最強の魔術師として知られてる、ちなみにあの石像が掲げている本にはフーデニー様の雷の呪文が刻まれているらしい、誰も解読できてないそうだがな。」
「へー」
石像に近づき本を見る
「?!」
読める、書いてあることがわかる、しかし、これは英語ではない、本来ここには存在しないはずの文字、自分が英語以外に唯一知っている文字、これは…
「日本語だ。」
「え?、なんて言った?」
「あそこに刻まれている文字、俺読めるんだ。」
「本当か?! なんて書いてある?」
「えー、”世界が再び、闇に侵されるとき、私は蘇る、私の墓の前でこの呪文を唱えよ”」
『レディオ アド ヴィタム』
ピカッ 突然、空から雷が落ちてきて体を直撃する、雷は一瞬で体を駆け巡り、皮膚を通り、血管の中を走る、ありとあらゆる臓器と骨に雷が走り、細胞の中に電気が溜まっていくのが分かる。
記憶はそこで途切れた。
「〜なのか?」
「ええ、おそらく〜ですね。」
声がする、まぶたが痺れていてうまく上がらない、何が起きたんだ?ここは?
「!おい!、起きてるぞ!」
目が開くようになると曇りがかった視界が少しずつ晴れていく、何やらキラキラしたものが周りにあるようだ。目をこすろうとすると、手が動かない、拘束されているのか?
視界はかなりクリアになってきた、少しずつ周りが見える、さっきまで見えていたキラキラした何かは甲冑を着ている武装した衛兵だった。
彼らは全員、自分に剣を向けている、異世界に来て2日目、変な呪文を唱えて雷に撃たれ、剣を向けられるとは…これから楽しくなりそうだ。
まだまだ続きます。