最後の攻略対象
「ちなみに攻略対象って何人いてどこの誰なの?」
「へ?ぼくルート一択ですよ?」
殴った。
「いったい、なぁ。冗談ですよ。」
「で、何人なの?」
「最初にあった王子クリス・ロード、次に図書館であった公爵の息子ルクス・テッド、最後に悪役令嬢リア・リュースの執事のリー・マストです。」
「へー。あとあってないのは執事かぁ。」
「ぼくルートをオススメしますよ。」
「そんなことより執事にはどうすれば会えるの?」
「さぁ?運命なら会えますよー。」
「またそれー?」
「ぼくに聞かれてもわからないですし。」
「そう、じゃあ。」
壁ドンをリサはランにする。
「?!」
「もうあんたルートでいいわ。」
「え?!ぐはっ?!」
腹パンして逃げるリサだった。
「なにが、した、いんです、か……ぐはっ」
その場にランは倒れた。リサは廊下を逃げていると誰かにぶつかってしまった。
「いったた……」
「ごめんなさい、ちょっと急いでまして……」
「いえ、こちらこそ……」
ぶつかって転げていたのは執事らしい服の少年だった。
「あの、もしかして……」
「ちょっと!リー!何してますの!?早く来なさい!!」
そこに現れたのは悪役令嬢リアだった。
「私の執事が失礼しました。」
「あんた!この前のこと、許してないからね!?」
「あら、怖い怖い。リー行きますわよ。」
「はい。」
執事は軽く会釈してリアと共に去っていった。
これで全員にあったわけだけど……
「誰ルートに行くか……」
「ぼくですよね?」
「は?」
振り返ったリサはいきなり掴まれる。
「いっ、ちょっとラン。痛いんだけど。」
「ぼくルートにするって、言ったじゃないですか。」
「あれは冗談よ!」
「へー。なんだ、残念だなぁ。」
ランは手を離す。
「そう言えばランルートなんて無いんじゃない?」
「本来はないんですけど……」
「?」
「いえ、なんでもないです。」
リサにはランが何かを隠しているように思えた。