笑顔のわけ
「も、もうすぐテスト……」
「ですねー」
「て!全然攻略対象と接点もてないんだけど?!ハーレムどした?!」
「あれぇ?ハーレム望んでないんじゃなかったんですかぁ?」
ニタニタと笑うランに苛立ちながらも答える。
「望んでないけど接点持たないのもどうなのよ?ゲームとして成り立つの?」
「うーん、どうでしょ?たぶんそのうち接点もてますよー!」
「もー!適当なんだからぁ!」
リサが手を上げて伸びをする。後ろにいた人に当たってしまった。
「ごめんなさい!」
「いえ、こちらこそすみません。」
ランが咄嗟に耳打ちする。
「あれ!攻略対象ですよ!」
「え?」
たしかにかっこいいイケメンだったけどなんか……。そうこうしているうちに攻略対象は去っていった。
「ん?どうしました?ぼくの顔なんか見て、あ!やっとイケメンだと気づきました?」
「いや、近くにイケメンがいる事に慣れたせいでイケメン=かっこいいとなかなか思えなくなってる。」
「ぶはっ!なんですかそれ!」
「笑わなくていいじゃない!」
リサはそのままそそくさと教室を出ていった。
「あ、待ってくださいよー!」
「あの」
「?」
ランを女の子達が囲む。
「良かったら一緒にお昼食べませんか?」
「!」
☆☆☆☆
「なんなのよ!ランのやつ、笑わなくてもいいじゃない。もー。」
「ねぇ、ちょっといい?」
「はい?」
リサも女子集団に囲まれた。
「ねぇー、もしかして付き合ってるの?ラン君と!」
「え、違いますけど。」
「ふーん」
「じゃあ、あんまり近寄らないでよね!」
「そうよ!そうよ!ずるいわ!」
「ごめんなさい。先を急ぐので。」
なんで私絡まれてんのよ?!
去ろうとしたリサの足を女子が引っ掛けた。リサは派手にころんでしまう。
「ははっ!だっさ!」
「うざいのよ!」
なんで私こんなことされてるのよ……
「これでもくらいなさい!」
魔法で氷を出した女子はそれをリサに投げつけようとした。
「っ!」
「「「っ!?」」」
そこに来たのはランだった。ランはリサをかばい氷の塊を投げつけられた。
「ラン君?!なんで?!」
「……ぼくの友人に手出しはさせない!」
ランが睨むと女子達はそそくさと逃げていった。
「ラン……」
「大丈夫ですか?立てます?」
ランは優しく手を差し伸べた。
「あ、あり、ありがとう。」
「いえいえ。こちらこそくるのが遅れました。すみません。」
リサはランの手をとって立つ。リサの手は震えていた。
「もう、大丈夫ですよ。ぼくが傍にいますから。」
そう笑顔で言うランは少しかっこよくみえた。
「ラン……」
「はい。」
「怪我してない?」
「大丈夫です。これでも神なので傷はすぐに治るんですよ。」
「へー。」
「ええ、ですからお気になさら……」
「つまり!今度モンスターに襲われたらランを盾にすればいいってことね!!」
「……」
ランは笑顔で固まった。