もみもみ
「ラン!」
リサはランを突き飛ばしてランと共に地面に転がる。
「リサさん!逃げましょう!」
そうしてリサの手を取りランは走った。
「ちょっとー!地上では神の力使えないんじゃないの?!」
ボヤくリサに走りながらランは答える。
「通常は使えないはずですが、今のナタリーは神々からの許可を得て、地上に降りたってますから、神々からのバックアップで力が使えるようになってるんですよ!」
「そんなの勝てるわけないじゃん!!」
「はい、だから……」
「?」
「お話は終わりました?」
走って行った先にナタリーが待ち構えていた。
「「くっ!?」」
「堕ちた神を捌く!これも部下だった私の役目です!」
「いいですよ!斬ってください!ただし、リサさんには指1本触れないと誓ってください!!」
「まだそんな世迷言を言うのですね!ラン様!なら、先にその女を殺しましょう!」
大鎌がリサへと向かってくる。
「リサさん!」
それを庇うようにランはリサへと突進した。
「ラン!」
「………」
「これで終わりました。貴方なら庇うと思った。予想通りです。あとは佐々木リサ。貴方の処分です。」
ランの背中には大鎌によってつけられた傷から血が溢れ返っていた。
「予想通り?どう言う事?」
「今、ラン様、いえ、ランを切り裂いた鎌は神を人間に堕ろす大鎌。これでランは人間になりました。ですから、もう天界へは帰れません。二度と。そして輪廻もできません、ここで死にゆくだけです。」
「……どうして?どうしてそんな酷い事するの?!」
「……うっ、ナタリー、やってしまいましたね。」
「ラン!」
「まだ動くか…!」
ナタリーは再び鎌構える。
「天界の神々はきっと、リサさんの処分は決定したのでしょうけど、ぼくの処分は今、君が咄嗟に決めた事ですね?」
「っ!?それが何?」
「今の行いは神への冒涜ですよ。ナタリー。」
「貴方はもう神では…」
「ええ、神ではないです。人に落ちました。しかし、今のナタリーには天罰が下るでしょう。神々はぼくを連れて帰ってくるように言っていたはずなのに。」
「なっ!そ、それは…」
「勝手な判断で神を堕としたのです。もうすぐきます。」
ランの言葉が終わると同時に天から落雷がナタリーへと降り注いだ。
「ぐはっ?!」
ナタリーは雷に打たれる。
「ナタリー。諦めてください。貴方にはこれからぼくの代わりに神としての仕事が渡される。」
「そんな筈っ!」
ナタリーは口をパクパクしながら落雷に耐えていた。
「神に昇格する。それが君に与えられた罰だ。」
そう言うとナタリーの体は天へと上っていく。
「そ、そんなっ!何故私が罰せられなければならないっ?!」
「神になれたんですから良かったですね?君にはこれから昼夜問わず亡者達を捌く日々が待ってますよ!神殺しから神への昇格。神話みたいでいいじゃないですかー!」
ニコニコと笑いながらそう言うランはいつも通り嫌な奴だった。
「くっ!覚えておけ!私はっ!必ず貴様等を…!!」
ナタリーの最後の言葉は呪いのようだった。だが、そんな言葉は雲の中へと消えてゆく。
「ラン!!大丈夫?!」
「あ、リサさん。ぼく…」
「怪我の手当しなきゃ!」
「大丈夫ですよ。…て、言ってもられないんですけどね。いたいです。」
リサは持っていたハンカチでなんとか出血をとめようとする。
「リサさん、最後に、一言だけ、言わせてください。」
「最後なんて言わないで!!」
リサの大粒の涙がランへと滴る。
「ぼく、リサさんに会えて良かったです。ありがとうございます。」
「ばかっ!そんな事言わなくていいから!喋らなくていいから!」
「えへへ、すみません。もう、……」
「ラン!!??」
「すみません、最後にもう1ついいですか?」
「何よ!?」
「おっぱい揉ませてください。」
「あほーっ!!そんなつまらない事言ってる暇あったら止血手伝いなさい!!」
「へへ、リサ、さ、ん……」
「ばかっ!おっぱいなんていくらでも揉ませてあげるわよ!だから生きなさいよ!!」
「本当ですか?」
「は?」
ランはそのまま起き上がる。
「え?死にかけなんじゃ…?」
「うーん、どうやら天界の神々達がぼくの人間堕ちを許してくれないみたいです(汗)。」
ランの怪我はみるみるうちに消えてゆく。
「え?人間になったんじゃ?」
「はい、なりました。でもまた神に戻されました。」
「え?輪廻出来ないんじゃ?」
「あはは、確かにそうなんですけど、今天に上ったら、天界の神々から神に任命されちゃって…で、揉んでいいですか?」
「ばかーーーっ!!!!」
リサの拳はランの顔面にクリンヒットする。
「いったーー?!ぼく神なのに?!神なのに?!」
「ばか!もう会えないかと思ったじゃない!」
リサはその場に泣き崩れた。
「リサさん…」
そんなリサをランは優しく抱き寄せる。
「ラン?」
「リサさん、ぼく、…」
ランはいつになく真剣な顔でリサを見つめる。
「もう少し大きい方が好きです。」
もみもみ。
「……。」
もみもみ…。
「大丈夫ですよ!これから毎日揉んであげるので!すぐに大きくなりますよ!」
プチンッ
「ばっきゃろーーー!!!!」
殴った。ランは勢いよく殴り飛ばされる。
「なんでーー?!いいって言ったのに?!」
「あ、あれは死にかけだと思ったからでっ!そのっ!」
「いや、実際1回死んでるんですよ!それから神に任命されちゃいまして…」
「天界でもどこでも帰っちゃえばいいじゃない!」
「だから、帰れないんですってばー。ここでリサさんが結ばれるのを見届けないと帰れないんです!」
「でも、迎えに来たじゃない。あの子。」
「ああ、きっとナタリーはリサさんを殺せばぼくが戻れる思って来たんでしょうね。」
「帰れないの?」
「リサさんが死んだら帰れますよ。」
「………」
「でも、ぼくはそんな事は望んでいません。誰かと結ばれて幸せになっていただく事を目指してますから!」
「ラン。私、ランの事…」
「え?」
「ランの事好きだよ。」




