王子と姫
文化祭の季節になった。
「文化祭かぁ。」
「演劇やるそうですよ!」
「へー!」
「で、ぼくが王子で、リサさんを姫にしておきました!」
「へー!………へ?!」
何故か姫役をすることになった。白雪姫をするらしい。
「じゃ、練習しましょう!」
練習は滞りなく進んだ。そして、姫を起こすシーン。つまり、王子のキスが必要となる。
「ああ、なんて美しい」
そう言って口付けをする。フリをする。
「練習はバッチリですね!」
「ええ!」
そうして迎えた文化祭当日、滞りなく進んだ。
「ああ、美しい姫」
そう言ってキスをするフリをする。つもりが転んで頭突きをしてしまった。
「痛ったー!」
「痛た。」
「痛たじゃ……ごほん!王子様!私を起こしてくださったのですね!?」
「ええ、そうですよ。」
こうしてなんとか舞台は終わった。
「それにしても攻略対象どこよー!」
「ぼくがいるじゃないですかぁ!」
「あんたとの好感度しか上がってないじゃない?!」
「まあまあ、そうでもないですよ?」
「へ?」
「あの、」
「はい。」
「良かったら今夜の舞踏会、一緒に踊ってくれませんか?」
誘ってきたのはクリス王子だった。
「?!」




