好きな人
夏休みが終わって新学期がはじまった。今度こそは攻略対象を攻略するわ!と、意気込むリサ。適当な神もどきのラン。
「新学期ねー。」
「はぁ、ぼくもっと寝てたいですぅ。」
「起きなさいよ。」
「だって、ふぁ。」
あくびをするランそんなランの口に鉛筆を入れてやった。
「ごほっ!?何するんですか?!」
「いつまでも寝ぼけてないで!起きなさいよ。」
「もー、まだ眠いですぅ。」
そういいながら大胆にも抱きついてきた。
「きゃっ!?」
「えへへ」
ごっ。
「いったぁ?!暴力反対ですよ!」
「あんたがどさくさに紛れてへんなところ触るからよ!」
「えー!」
すると教師に先生が入ってきた。いつも通りの授業が始まる。
授業が終わるとランはまた抱きついてきたので殴る。
「もう、どうしたのよ?急に?」
「そういうのは殴る前に聞いてほしいですねぇ!」
「で、なんなの?」
「いや、ぼくの好感度アップの為に頑張ってるんですよ!」
「草」
☆☆☆☆
昼休み、トイレの帰りにそれは起こった。
「あら、どっかのドブネズミさんじゃない?」
「誰がドブネズミや!」
取り巻きを連れて歩いてくる悪役ストーカー令嬢が来た。
「王子にはあれから近づいついないようね!見てるから!ものすごく見てるから!知ってるわ!!」
「あ、はい。そうですねー。」
「何その余裕そうな話し方は?!」
「別に余裕なんて……」
「君たち何してるのかな?」
そこに王子クリスがひょいと顔をだした。
「あ、あの、私達はただお話をしてただけですわ。では、ごきげんようー!」
悪役令嬢リアは去ってゆく。
「君、本当に大丈夫かい?」
「はい、大丈夫です。」
「ならいいんだが、困った事があったらなんでも言ってね。」
そう言って去ってゆく。
またこのくだり?何か意味があるの?
「あーあ、逃しちゃいましたねー。」
気がつくと後ろにランがいた。
「何を逃したの?」
「親しくなるイベントですよぉ。」
「難しいわね。」
「かわりにぼくの好感度でも上げますか?」
「あげねぇよ。」
「つまりですね。今の正解は、困っている。いじめられていると言うのが正解ですね。」
「………え?いじめ要素どこにあった?」
「まあ、細かい事は気にせず。」
「難しいわね。乙女ゲームって。」
「で、誰狙いなんですか?」
ニタニタと笑うこいつを召したい。
「そりゃ……」
咄嗟にアタマを過ぎったのは彼だった。
「え?誰です?王子?」
「………誰でもないわよ。」
「ええ?!教えてくれてもいいじゃないですかぁ!じゃないとサポートできませんし!」
「いないわよ!攻略したい相手なんて!こんな訳分からない世界に放り出された私の気持ちなんてあんたにわかんないわよ!!」
リサは廊下を走っていった。
「あっ。」
☆☆☆☆
寮へと戻るとリスが窓辺に遊びに来ていた。
「ねぇ、聞いてくれる?」
リスに話しかけるなんてへんかも知れないが誰かに話さずにはいられなかった。
「私、ちょっと好きな人がいるんだけど、素直に言えなくてさ、どうすればいいんだろう?」
「……」
リスは何も答えない。
「私、変になっちゃったのかな?」
コンコンコンとノックの音がした。
「リサさーん!」
「!」
「すみません!ぼくが悪かったです!開けてくださーい!」
「嫌よ!入れるものなら自分で入ってみなさいよ!」
「フッ!言いましたね?ぼくの鍵開け技術を舐めないで頂きたい!!」
カチャカチャ。
こ、こいつまじで針金で開けようとしてやがる………?!
ガチャ!
「開きました!!」
「帰ってよー!」
「何をおこっているんです!?」
「おこってないってば。」
「……誰を好きになるかなんてんからないですもんね。変な質問してすみません。好きって自然となるものだから攻略対象に話しかけていれば芽生えるものだと思いますよ?」
「そうね。」
「例えば、ぼくとか!」
「うん。」
「?!?!ん?」
「もうあんたでもいいかなって思ってる。」
「へ?」




