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乙女ゲームをぶっ壊す☆  作者: ユキア
12/22

きたねぇ花火

「リーサさぁん!」

 コンコンコンとドアをノックされる。


「はいはい、なによ?」


 仕方なく扉を開けてみる。


「デートしましょう♡」


「は?」


「今日花火大会があるそうなんです!ここで攻略キャラとの距離を縮めるチャンスですよ!?」


「今のところ攻略キャラと接点薄いんだけど?」


「何言ってるんですか?!ぼくとの好感度は上がりますよ!」


「いらね。」


 バタンとドアを閉じようとする。だが、ランは隙間から入って来ようとしてくる。


「そんな事言わずにぃいいっ!」


「扉が閉じないじゃないっ!」


「いぃいいれぇえええてぇええくだっさいっよぉおおおお!」


 圧に負けて扉を離すと勢いよくランが転がりこんできた。



「いってて!」


「いったぁ……もうっ!何してっ!」


 顔を上げるとすぐそばにランの顔があった。


「リサさん、ぼく……」


 殴った。


「なんで殴るんですか?!」


「近いからよ!」


「へー、そんな事言って、本当はぼくにドキドキしてるんじゃないですかぁ?」


 ニマニマと笑顔のこやつを仕留めたい。殴ろうとした。だが、珍しく腕を掴まれる。


「本当は、ぼくのこと、好きになってきてるんじゃないんですか?」

 なんていつに無い真剣なトーンで話される。

「そんな、わけ……」


「まあ、冗談ですけど、」


 そう笑って手を離す。


「いいわよ!花火大会行ってやろうじゃないの!」


「そうこないと!では、五時に迎えに来ます!」

 ランは部屋から去っていった。


「なんなのよ。あいつ、はぁ。」


 ☆☆☆☆


 5時になり、ランは迎えに来てくれた。


「さぁ、いきますよー。」


「はいはい。」


 渋々ついて行く。


「何か欲しいものとかありませんか?買いますよ?(学園長のお金で)」


「うーん、そうね、肉かな。」


「可愛くないチョイスですね。」


「うるさいわね!じゃあ、」


「じゃあ?」


「じゃあ、あんたを飼うわよ?」


「………いや、もう、それやめてもらえません?ぼくもうもらわれるの嫌ですから。」



「ふふっ、冗談よ!あんたなんてなんの役にもたたないし、」


「ぼくは、もらわれるより、もらいたい側です。」


 そう言ってランはリサの手を握った。


「っ!」


「ここが天界ならいくらでも力使い放題なのにぃーー!ぼくだって、何かもらえる権利あってもいいじゃないですぅかぁあああっ!!不公平ですよぉおおっ!?」


「はは、どんまい。あんたは物カウントだから仕方ないわよ。」


「もー、れっきとした神なのにぃぃいいい!イケメンなのにぃいい!」


「中身が絶望的なぐらいハズレなのよね。」


「うっるさいなぁ!もうっ!そんなリサさんにはお仕置が必要ですね?」



「は?」


 人混みの中、急に手を離される。そのまま、ランは先を歩いていった。


「ちょっと、待って……」


 人混みに分けられて合流できない。しばらくして路地裏へと逃れた。


「もー、なんなのよ!あいつから誘ってきたくせに、居なくなるなんて!」


「へーい、ねぇちゃん、俺らと遊ばねぇ?」


「へ?」


 リサはいつの間にか不良グループに囲まれていた。


「いや、あの、」


「いいじゃん、行こうぜ?」

「楽しいところに連れってやるよ。」


「結構です。」


「んだよ。誘ってやってんのに!」

「黙って来いよ!!」


「ちょっとっ!いやっ!離して!」


「なーに、してるんですか?」


「へ?」

「「は?」」


 振り向くとそこにはランがいた。笑顔で。いつになく笑顔で。


「ほら、さっさといきますよ。リサさん。」


 不良の手を解いて連れて行こうとする。

「ふざけんな!!このちびっ!」

 だが、不良に殴られた。


「誰が、ちびだ!!?さっさとどいてください!」


「んだとゴラ?」


「ちょっと、大丈夫なの?!ラン!」


「リサさん、ここは」


「うん!」


「逃げましょう!!」


「はー?!」


 手を引かれてそのまま逃げてゆく。 戦う流れではないのね!


「はあ、はあ、すみません。1人にさせてしまって……。」


「大丈夫よ。」


「どこか怪我とかしてませんか?」


「大丈夫。」


「リサさん、ぼく………」


 ばーんっと、花火が上がった。



「え?なんて?聞こえなかった!」


「ぼく、リサさんの事……」


 ばーんっ!

「え?私が?なに?」


「リサさんは」


 ばーんっ!


「ちょっ、聞こえないって!」

 今度は大声で言った。

「リサさん本気出してくださいよーー!戦えるでしょーー?!怪力なんですからーー!!って言ってました!!」


 ばーんっ!


「たまやー!かぎやー!」


 花火と一緒にランくんも打ち上げてもらいましたとさ。めでたしめでたし!


「めでたくないですよぉおお!!」

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