熱い夏休み
夏休みになりました。相変わらず寮ぐらしです。
「あっつ…クーラー、クーラー。」
ぴっ。
「はあ、涼しい。」
「涼しいですね。」
「ねー。」
リサの思考はその声で停止した。
「……何でここにいるの?!」
「遊びにきたんですよー。」
「遊びにって、ここ女子寮なんだけど?」
「知ってますよー。だから覗きに…」
殴ろう。
「いったた、酷いなぁもう。」
「覗きに来る方が悪い。」
「まあまあ、そう言わずに、宿題でもしましょう!」
「はあ、攻略対象とほぼ会話出来なかったんだけど……なんであんたと宿題しないといけないのよ。」
「宿題は早めに終わらせないとめんどうですからねー。」
「そういう意味じゃないわよ。はあ。」
2人の勉強会は夜まで続いた。気がつくとリサは眠ってしまっていたらしい。
「...ん、あれ、私眠って…」
「おはようございます。」
ランの顔が近づく。そして殴ぐる。
「なんでー?!挨拶しただけなのにぃ!?」
「近いのよ!ばーか!」
リサは薄い毛布が自分にかかっている事に気づく。
「これ、ありがとう。」
「いえいえ。」
「ところでさ、なんでそんなに自分ルートを進めるのよ?」
「いえ、特に理由はないですよー。ただ、あなたが幸せに誰かと結ばれないとぼく帰れないみたいなんです。なので、最初から好感度マックスのぼくをおすすめしてるんですよ。好感度マックスならすぐに付き合えるでしょ?」
「………なんでマックスなの?自分で言うのもなんだけどむしろマイナスでは?」
「………端的にいえば、そこに心がなくても」
ランはリサを押し倒した。
「結ばれれば帰れるんですよ?」
「?!」
リサは殴ろうとするがランに止められた。
「なーんて、冗談ですよ。」
そう言っていつもの笑顔に戻り上からどいてくれた。
「冗談きついわよ。」
「まあ、それは置いておいて、あなたが誰かと結ばれないといけないのは事実です。ぼくが帰れないのは困ります。天界ではぼくに裁かれるのを待ってる魂がたくさんいるんです。」
「……ごめん。」
「謝らないでください。休暇が欲しいなんてボヤいたぼくにも責任はありますからね。さ、それより宿題を終わらせましょう。」
2人はその日のうちに宿題を仕上げてしまったのだった。




