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ある冒険者ギルドの光景(『眠り姫の出会い』シリーズ)

ほぼ会話のみの短いアホ話です。頭空っぽで読んでいただけると吉。

時系列としては、本編から一年弱くらい経った頃です。

「いたたた」

「どうしたカトル?……あー、また唇切ったのかよ。ほら、薬よこせ」

「だって、氷結ダンジョンから戻ったばかりなんだから、気温差が影響して酷いんだってば。いたた……」

「まあ、それでなくとも魔術師ってのは呪文詠唱がほぼ必須だから、唇が荒れやすいと大変だわな。はい、口閉じてろ」

「んー……」(目も閉じる)

「…………」

「オレグ?」

「ああ。────よし、終わり」

「ありが……って、ちょっと。キスなんかされたら塗った意味なくなるんだけど?」

「またすぐ塗ってやるよ。だからちょい黙れ」

「もー、馬鹿なんだから」


「…………」

「いつもながら何やってんだか、あのバカップル。しかもギルドのど真ん中で」

「……オレグさんとカトルさんって、いつもああなの?」

「まあな。普段は色気も何もない雰囲気のくせに、スイッチが入るとああなるんで、目撃した女っ気のない連中に血涙を流させてる」

「そ、そうなの……まあ確かに、薬なら普通は自分で塗れば済む話だものね」

「イリーゼは、唇や手とかは全然荒れないよな。これも加護の一環か?」

「うん、多分。……何で触るの?」

「んー、ぷにぷにで柔らかくて美味そうだなと」

(がぷ)

「いでっ! いきなり指噛むなよ!?」

「知らない。変な目で見るなら帰る」

「どこにだよ? まだ宿取ってないのに」

「今夜は別々の宿ね。じゃあおやすみ」

「ちょ、ストップ! 分かったよ、悪かったから、離れ離れは勘弁してくれ。な? 頼む」

「……もう、人前で変なことはしない?」

「しない。だからほら、戻ってきてくれよ」(膝ぽんぽん)

「…………分かったわ」(横座り)


(どっちがバカップルだよお前らー!! いやどっちもだな!! あえて考えるまでもなく!!)

(しかもこれ、『愛娘』ちゃんは素だろ絶対!! 距離感おかしいから、いや前からだけど!!)

(ヴァイスの方はぜってー確信犯だけどな! あーもう、すげえムカつく……!)

(どっちの男も一発殴りてえ……絶対返り討ちに遭うのは分かってるけど、でも殴りてえ……!)


 かくしてこの日の冒険者ギルドは、男たちの血涙と声なき叫びで満たされた、とか何とか。

バカップル二組により、死屍累々となった冒険者ギルド。

ヴァイスとオレグはギルドマスターに頭をはたかれるがよろしい。唇が痛いカトルと、理由があったイリーゼは無罪ということで。

ヴァイス&オレグ「「差別だー」」


なおイリーゼの理由とは、この直前、ヴァイスに女冒険者(どこぞの皇女様系)が絡んできていたので、虫除けがてら顔を出してパートナーに密着していたという状況がそれです。なので完全な素ではありません。モブくん勘違い。

ちなみに、そうしてくれと言い出したのはヴァイスなので、責任が大きいのが誰なのかはまあ言うまでもなく。


しかし、Sランク冒険者をひっぱたけるこのギルドマスター、そのうち独身冒険者たちの合コンみたいなものを開催しそうな気がしてならない……

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