第4話 破滅する王
悪い事は、夫婦間のやり取りが消えただけではない。
それ以降日常では、仕事は手につかなくなり、周囲へ当たり散らす事が多くなった。
それに比例して、女の視線はゴミをみるようなものとなっていく。
俺も俺で、その女をゴミのようにしか見られなくなっていた。
使用人と話していれば媚びをうっているように見えるし。
何か労いの言葉をかけてきたり、忠告をもらっても、ただうわべだけいい女を演じているとしか思えなかった。
母や、母にもなれなかった女と同じだと思うと、女扱いするよりも前に、人間扱いできる気がしなかったのだ。
だから、その破局はある意味当然の事だったのだろう。
やがて。
女は王宮から出ていった。
そして、俺を嵌めて罠にかけ、破滅させたのだった。
女が逃げ込んだ国を攻めようとしたら、その国の兵士達が歯向かって来た。
そして、そいつらは手薄になった王宮を叩いてきて、それで、終わり。
王宮に踏み込んできた奴等は、俺をゴミを見るような目で見てきた。
数少ない護衛の兵士は俺を見捨て、一目散に逃げて言く。
俺は孤独な王だった。
その孤独を傲慢な行いで紛らわそうとしていたが、やはり無理だったようだ。
牢屋送りにされた俺は、鉄格子越しに幸せそうに「ざまぁみろ」と笑う女を見てやっぱりと思った。
こいつらみたいな人間は所詮、そんなものなんだと。