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第1話 機嫌の悪い王
パリンッ!
破片が足元に飛んできた。
視線を向けると、男の使用人が青い顔をして震えていた。
王宮で働いている奴の顔とは思えない。
悲壮感に満ちた顔だった。
俺は目の前で花瓶を割ったその使用人をクビにした。
「もう、お前はこの王宮にこなくていい」
「そっ、そんなっ。王様っ、どうかお許しを!」
「うるさい! 誰かこいつをつまみだせ!」
馬鹿な奴だ。
俺の機嫌が悪い時に、へまをするなんて。
処刑されないだけありがたいと思え。
だが、まだあいつらでないだけ言い。
あいつらは顔も見たくないからな。
王である俺は、流浪の民や旅人が大嫌いだ。
それは家族に原因がある。