表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。

とある真夏日のこと、僕は恐怖体験(夢オチ)しました。

作者: 夢見るDT

 あれはとある真夏日のことだった。

 ○△県※?市の高速道路を、当時買ったばかりの愛車ダンプカーに乗って走っていた。

 何故に自家用車としてダンプカーを買ったのかは、僕にも分からないが、衝動のままに即決し、家族からは散々な言われようだったことだけは覚えている。


 そんな愛車に揺られながら、およそ1時間と40分ほどのこと。何故かトンネルの中で小学の高学年程度の女の子がヒッチハイクをしていた。

 可笑しいなとは思いつつ、僕は愛車を脇に止めて、彼女を乗せてやることを決めた。


 名前を聞いてみると、花田はなだ花子はなこと言うらしく、変な名前だねと鼻で笑えば、頬を膨らませて拗ねてしまった。

 年相応の可愛らしさを感じるが、ぶっちゃけると彼女はメタボ体型のブ女だった。きっとこれも皆がヒッチハイクに引っかからなかった理由なのだろう。この時の僕は、こんな風に軽く考えていた。



 しかし徐々に様子が可笑しいことに気が付き始めたのは、トンネルに入って、かれこれ2時間が経とうとした時のことだった。

 いつまで車を走らせても、向かう側の出口が近付いてこないばかりか、なんと光が遠のいていくのだ。


 更に周囲を見渡してみれば、トンネルに入る前は渋滞を起こしそうな程に走っていた車は一台も見当たらない。

 そして今まで直線かつトンネルの中を通っていたため、初めてカーナビに目を向けてみると、僕は声を出して驚いた。現在地が海のど真ん中となっていたのだから。


 僕は思わずブレーキを踏み、ダンプカーはエンストを起こしてしまうが、それに気を向ける余裕は無かった。

 花子が『どうしたの』、と聞いてくるが、僕は『黙らっしゃい』と一喝した。

 彼女がブ女では無く絶世の美幼女であれば、不安を取り除いてやろうと気を向けて、異変に気が付いたのだろうが、その時の僕は、取りあえず来た道を引き返してみようかと軽く考えていた。


 しかしそこで、地獄から響いたようなような、低く、嗄れて不気味な声を僕の耳が拾ってしまった。


『捕捉』


 次いで聞こえてきたのは、べチャリと、何かが僕の愛車へ張り付いた音だった。

 恐る恐る窓の外を見てみると、そこに居たのは、まるでこの世の者とは思えぬ形相でこちらをジッと見つめる異形だった。


 僕は年甲斐もなく甲高い悲鳴を上げて、急ぎ愛車の鍵を回し、エンジンが付くと同時にアクセルを全開に回した。

 異形を振り落とすため、ウィリー走行をしてみたり、車体を壁に擦りつけたりを繰り返すが、ソイツは振り落とされるばかりか数を増やしていく。


『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』


 次々に聞こえるその声に、僕は今にも漏らしそうなほどに怯えきっていたのだ。

 そこで久方ぶりに花子が口を開いた。


『外の異形はね、きっと私を追いかけてここまで来たんだよ』


 どういうことだと僕は聞き返す。


『私たちが出会ったトンネルの中にあるガードレールで、30秒間バイクでウィリー走行をすれば、冥府に行くことが出来ると学校で聞いたんだよね』


 ヤケにニコニコと、まるでこの状況を面白がっているような表情で、花子は次々と口を開く。


『なんだか面白そう。そう思った私は、父のバイクでさっきのトンネルに入り、聞いた通りにガードレールの上でウィリー走行を30秒間やった』


 え、何それ凄い。僕はこの状況を忘れて、純粋にそう思ってしまった。


『そしたらガードレールから、窓に張り付いてる彼らが滲み出てきて、私の耳元で『捕捉』ってずって言っててさ』

『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』『捕捉』

『今のこの状況みたいにね』


 なんだか僕は、今もクスクスと笑う花子の顔を見るのが怖くなってきた。それでも助手席に座る彼女は嫌でも目に入ってくる訳で、良く見てみれば、その顔は外のヤツ等と同じになっていた。


『捕捉』


 そうしていつからか変体していた花子は、僕を食べるために牙を向いて……。


















 そこで僕は甲高い悲鳴と共に目覚め、全てが夢だったことに安堵し、それから数日間、家族からは変人を見る目を向けられるようになったのだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ