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第1話 転生のち溺愛

新連載始めましたー! 初日は時間をずらして夕方17時に2話を投稿します!

二日目からは毎日1話更新となります!


おもしろい、続きが読みたいと思ってくださいましたら、ページ下にある感想、ブックマーク、評価をしていただけると、ああ、この作品は読者の方達に喜ばれて望まれているんだなと伝わり、作者の執筆意欲にダイレクトにつながります。

「私、転生しちゃった」


 酷い毒親と大喧嘩をした私は、家を飛び出した先で事故死した。

 もうすっごく痛くて、ああこりゃ駄目だと思った私だったのだけど、気が付いたら知らない場所に居た。

 しかも赤ん坊になって。


 そこで私はピンときた。ああこれがクラスメイトがハマってた小説でよく聞く転生というヤツなんだなって。


 なにせ私が目覚めたら、目の前に巨人としか言いようのない大人達が居たからだ。

 いやホントビックリしたわ。

 そして何故かデッカイタライに入れられて体を洗われたかと思ったら、今度はベビーウェアを着せられた。

 高校生にベビーウェアだよ。


 そんでこれはまさかと思っていたら、母親と思しき銀髪の女の人の所に連れていかれて、母乳を与えられた所で確信したわけ。

 ここまできたらもう疑いの余地もない。私は生まれ変わったのだと。


 最初は事故のショックで幻覚でも見てるのかとも思ったけどね。

 そして私の親が帰るぞって連れ帰りに来るんじゃないかって。


 でも私の親は私が怪我をしたところで心配して慌ててやってきたりしない。

 寧ろ相手から慰謝料を一円でも多くむしり取る事に専念したあとで、傷は残ってないだろうなって叱るような連中だからだ。


 ああ、そういう意味では生まれ変わって良かった。

 だってあの両親と手を切る事が出来たんだから。

 それも二度と追いかけてこれない場所に。


 清々しい気分になった私は、新しい母の胸でまどろみながら心に決める。


「新しい人生は、私が私でいられる人生にしよう」 


 ◆


 私、柊柚子の両親は毒親だった。

 独善的で自分勝手。自分達の為に私の人生はあると思う、そんな人間だった。

 自分達が誇れるように私は様々な習い事や勉強を物凄い密度で詰め込まれた。

 将来の進学に役立つよう生徒会やボランティアもさせられたので、殆ど遊ぶ暇もない程だった。


 ついでに言うと高校卒業が間近に迫ったところで金持ちの老人と財産目当ての婚約をさせられそうになった。

 その前に死んだけど。


 そんな人間の屑が私の前世の親だった。

 そして今の私、リコアリア・テル・ユーラヴェンの家族はというと……


「リコアリア! 今日も可愛らしいな!」


「リコ! お土産のお菓子だぞ!」


「リコーっ! 貴女に似合いそうなアクセサリを買ってきたわよ!」


 前世の反動じゃないかと思うほど皆に甘やかされていました。


「……大丈夫かな私の人生」


 甘やかされ過ぎて駄目にならないかちょっと心配です。


 ◆


 転生してから数年が経った。


「お嬢様、今日はどうなさいますか?」


 メイドのカーリーが今日の予定を聞いてくる。

 私は貴族令嬢だけど、まだまだ幼いので貴族の義務は気にしなくていいのだ。


「お庭でお散歩をします」


 あれから私はこの世界の言葉にも慣れ、自分の足で出歩けるようにもなっていた。

 ただし家の敷地内限定だけど。


 でもそれは私の家族が過保護だからと言うわけじゃない。いや凄い過保護だけど。

 それはともかく私の家ユーラヴェン家は、国内でも有数の大貴族であるユーラヴェン侯爵家で、その末娘の私は貴族令嬢なのだ。


 当然貴族の娘が家の外をウロウロしてたら誰に攫われるか分かったもんじゃない。

 そんな訳で私の行動範囲は家の敷地内に限られていた。


 でもまぁそれでも物凄く広いんだけどね!

 他の侯爵家もそうなのか、屋敷の中がとにかく広いんだ!

 更に外の庭も入れると2倍どころか10倍はある。

 どんだけ広いんだって感じだよ!


 あまりにも疑問だったので、お父様にその辺りの事情を聞いてみた。

 すると……


「わが家の庭が広いのは、魔物が町を襲ってきたときに領民を避難させる為だよ」


 との答えが返ってきた。


 そう、魔物です。この世界には魔物が居るのです!

 何でもこの世界は人間と魔物が争っていて、そのおかげで人間同士の争いは比較的少ないのだとか。

 まぁあくまで比較的みたいだけど。


「では今日の昼食は中庭に用意いたしますか?」


「うん、そうして」


「畏まりました」


 カーリーはテーブルに昼食は中庭でと書いたメモを置く。

 私が部屋を出た後、掃除の為に入って来た別のメイドがこのメモを見て食堂に指示を出すって寸法らしい。


 階段をゆっくり降りてカーリーに開けて貰った扉をくぐると、美しい花に満ち溢れた広大な庭園が姿を現す。


「うーん、今日も綺麗」


「そう言って頂けると庭師達も喜びます」


 この中庭の庭園は私の誕生祝いにお爺様が作らせたものらしい。

 子供が生まれた祝いにこんなデッカイ庭園を造るとか、侯爵家って凄いなぁ。


 私は庭園の花を眺めながら中庭を散策する。

 健康の為にはウォーキングは必須だからね。

 特に私は家族から甘やかされ過ぎているから、自分の健康は自分で管理するくらいでないと不安になる。


「あっ、枝が折れてる!」


 庭園の花を見ていたら、その内の一本の枝が折れていることに気付いた。


「まぁ! 庭師を叱っておかないといけませんね!」


「待って待って! 叱らなくていいから!」


 カーリーが庭師を呼びつけようとしていたので、私は慌てて彼女を止める。

 枝が折れていただけで叱られたらさすがに可哀そうだよ。


「お嬢様は本当にお優しい! 庭師にはお嬢様の優しさを滾々と伝えないといけませんね」


 それ結局お説教になるんじゃ……

 まぁそれはそれとして……


「ねぇカーリー、このお花にアレをやってあげて」


「あれですか? お嬢様もお好きですね」


 私はワクワクしながらカーリーがアレを行うのを待つ。


 カーリーは花の折れた枝に手をかざすと、静かに言葉を紡ぐ。


「いと優しき女神よ、かの者の傷を癒したまえ。ヒール」


 すると花が柔らかな光を帯び、折れた枝が映像の逆再生の様に復元してゆく。

 そして数秒としないうちにどの枝が折れていたのか分からなくなってしまった。


「凄い凄い! カーリーの魔法はやっぱり凄い!」


 そう、カーリーは魔法使いだったのだ。

 ううん、カーリーだけじゃない。この世界には魔法を使える人間が沢山いたのである。

 つまり魔法が存在する世界なのです! ビバファンタジー!!


「ふふっ、ただの下級回復魔法ですよ」


「でも凄い! 私もカーリーみたいに凄い魔法を使いたい!!」


「お嬢様なら使えますよ。何せバリディエ国が要する魔法六家の一角、ユーラヴェン家のご令嬢なのですから」


 魔法六家、それはこの世界に存在する六属性の魔法それぞれの頂点に立つ貴族の事を言う……らしい。

 そして私の家ユーラヴェン家は、攻撃魔法において頂点に立つ超絶エリート一家だったのだ!

 ちょっと、いやかなりワクワクするよね!


「旦那様もダリル様もムリエ様もとても優秀なお方ですし、お嬢様もきっと凄い魔法を使えますよ」


 うん、私の家族は本当に凄い魔法の使い手らしいんだよね。

 末っ子として鼻が高いよ!

 自分は何もできない癖に命令するばかりだった前世の親とは大違いだ!


「早く私も魔法を使いたいなぁ」


 でも子供には危ないからって、まだ魔法を教えて貰えないんだよね。  

リコ「家族と使用人がチームを組んで甘やかしてくる!」

家族「ドレス! 宝石!」

使用人「ご馳走! お菓子!」


おもしろい、続きが読みたいと思ってくださいましたら、感想、ブックマーク、評価をしていただけると嬉しいです。

凄く喜んでやる気が漲ります。


 


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