71. 足りない
何事もなく村についた。昼にはまだ少し早い時間だが、この後しばらく村も町もないらしい。今日の夜は野営をするんだそうだ。
昼食はブロックベーコンと食パンをスライスしてベーコンエッグトーストに。まあトーストと言ってもオーブンやトースターが無いのでフライパンで焼いたんだが…そして食後にコーヒーを頼まれたが今回は紅茶で我慢してもらった。思ったよりも減りが早くて王都につくまで持ちそうもないのが理由だ。
「…やっぱり足りない」
「何がですか?」
食器を洗っているノノさんには悪いが横で食材を取り出し内容の確認をしている。
「調味料だよ。このままじゃろくなもんが作れん」
「十分おいしいと思いますけど?」
違うんだよノノさんっ もちろん俺は料理人じゃないしそこまでこだわりがあるわけじゃないんだけど、やっぱり最低ラインってあるじゃないか。調味料が足りなくて物足りないものが出来たりするのが流石に納得できないんだよね。それが俺の世界の料理だと思われるのがよくないと思うんだ。別に知らないからいいじゃないかと言われればそうなんだけどね。となればガチャを引くしかないだろう? 運しだいだが。
ガチャポイント:20593→20093
コンビニ弁当
冷凍グラタン2個
オレンジジュースの入ったコップ
ビスケット
乾燥昆布500g
ジャガイモ1k
2Lのペットボトル(水)
エビ15尾
麻婆豆腐の入った皿
納豆(3パック)
イチゴ大福2個
…調味料ないな。でもまあ昆布が出たのはちょっとラッキーかもしれん。これでだしを取れば多少はましになるかもしれないしね。まあ早速ペットボトルの中に水と一緒にぶち込んでおくが。それとペットボトルが増えたし麦茶も作っておけるね。冷ます時間はないからぬるめになるのはいたしかたない。
昼食と水分の補給などをすまし、再び村を出発。少し足場の悪い道を進み問題なく野営所へと到着した。特に魔物や獣もやってこないこのまま王都まで無事にたどりつきますように。
野営所は俺たちだけじゃなかった。他に2組すでに到着しテントを張ったりと忙しそうにしていた。1組目は冒険者のパーティなろうか。比較的若い5人の男女がテントを2つ設置していた。もう1組はどこかの貴族だろう。少し人数が多めだった。俺達と変わらないくらいの人数が行き来していて馬車が2台止まっている。
アルバトロスがヨルさん達のいる馬車へ近づき何やら喋っている。
「ジルベスター様他の方との打ち合わせに行ってまいります」
「ああ頼んだ」
打ち合わせ…? なんだろう。
「ついてきますか?」
「気になるし、俺が行っていいのなら」
「問題ないですよ。邪魔さえしなければ、ですが」
…ほんとにその一言なんなの。そんなことぐらいわかってるよ!