ジエル視点①
床に転がりぼんやりと天井を眺めた。はっきり言って退屈だ。以前の生活に比べれば気持ち的には楽だけど、この建物から外に出られないというのはどうにかならないものか…まあその分この中では私は自由だ。自由なんだけど何分やることがないのが問題だと思う。私がここに閉じこもっているのには理由があるのだけど。
持ってきた本やルーがたまに買ってくれる本も読み飽きてしまったし、室内ということもあり体もろくに動かすことが出来ない。それほど運動が好きなわけじゃないからいいんだけど。
そんなある日ルーが持ってきてくれた本に目を引くものがあった。ポーションの作り方が書かれたものだった。なぜこれをルーが持ってきたのかはわからないが、絵柄に植物が書かれていたので外に出られない私のために用意してくれたんだと思う。もともと住んでいた場所は緑があふれる場所だったこともあり、この狭い室内で息が詰まることはルーもわかってくれていたってことだ。ちょっとだけ嬉しい。
私がポーションを作りたくなるのも時間の問題だった。どうせなら直接薬草を手に入れて触れて作りたい。植物の匂いを直に感じたかったのだ。ルーにお願いすると生活費を稼ぐのにも丁度いいと持ってきてくれるようになった。
ポーション作りに慣れ始めた頃、ルーが初めて知らない人を連れて来た。驚きながらも私は口を動かす。いつもより声のトーンが上がり、早口になった。私の変化にルーが少し戸惑った顔をしていたかも。
ちらりとルーが連れていた人を見たけれど、なんだろう…何か違和感を感じた。
ルーがポーションを売るためにいなくなった後も落ち着かなかった。まるで初めてあの人に会った時と同じ感じがする。もしかして…でも…
ありえないと思った。ただの幼い男の子にしか見えなかったから。