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44. 餌付け

 ネコと俺たちの間に鎮座するでっかいマグロ…なんてシュールな光景なんだ。


「ルッ」


 お、どうやら気になっているみたいだな。俺とマグロを交互に眺めているぞ。うろうろと歩き出したが中々こっちにはやってこないな…味見させたらいいか? こうちょっとナイフで切り取って…


「ほら食べて見ろよ」


 ネコの近くにマグロの切れ端を放り投げた。ちょっとだけネコがビクッとしてたけどゆっくりと切れ端に近づいていく。もちろんこっちの警戒も忘れずにちらちらと見ながらだ。


 匂いを嗅いで…食べた! おっしっ カッ目を見開いて夢中だ! やっぱ魚は好きなんだなー おっとこっちをじっと見ているぞ。もっと食べたいのか? もう一度マグロを切り取り今度はナイフの先に突き刺して…


「こっちこいよ」


 食べたかったらこっちにおいでーと誘ってみる。ちらりと自分の足元を見た後ゆっくりと俺のほうに向かってきた。そういえば人が死んでるんだっけ…誰なんだろうか。


「食べていいぞー?」


 近くまでやってきたネコはナイフに刺さったマグロの匂いを嗅いでいる。そして食いついた。


「よしよーし」


 ネコの頭を軽くなでてみる。ちょっとびくついていたけどどうやらマグロが勝ったようだ。


「もっと食べるか?」

「ル~」


 この調子で食べさせながらならなんとかなりそうだな。


「ヨルさん食べさせながらなら連れ帰れそうだよ」

「そうみたいだな。だが…アルバちょっと綺麗にしてやってくれ」

「わかりました。ウォッシュ」

「ぶっ!?」


 ちょっと…俺も一緒にっ? てかなにこれびしょ濡れなんですけど…


「ルル~」

「うわっ」


 ネコが水飛沫を飛ばしてきた! ちょっ 俺ずぶ濡れ! 呑気に自分は体をなめて整えてやがるぜ…畜生っ


「ん? いや俺はいいよ」


 俺のことも舐めてきた。断ったら、そう? みたいな感じで首を傾けていた。まるで俺の言葉がわかってるみたいだな。

 とりあえずさっさと帰りたい…ああそうか。この水も収納すればいいのか。ついでにネコの水も回収してやろう。



ガチャポイント:13553→13555



 うん。まあ…うん。

 気を取り直して? マグロをいくつかに切り分けてインベントリにしまい、ネコに与えながら俺たちは来た道を戻っていくことにした。時折後ろを振り返って立ち止まっているネコの様子からするに、あの死んでしまっていた人はこのネコにとってなにか特別な存在だったのかもしれないと思える。実際はわからないんだけどね。でもネコが殺したわけではないんじゃないかなーとだけは思った。


 アルバトロスとセブンシ―がヨルさんに言われて死体を調べていたみたいだけど、なぜか俺にはその結果を教えてくれなかったんだ。もしかしたら貴族がらみだからなのかもしれない。そして俺はまだこの時は気がついていなかったんだ。このことがきっかけで恨みを買うことになるだなんて───

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