32. 情報収集
ちょっと今日は俺のほうが来るのが遅かったみたいだ。すでにヨルさんは来ていて誰かと話をしている。その会話が終わるのを待ち近づくとヨルさんが先に俺に気がついた。
「来たな」
「すみません遅くなりました」
「…普通に喋っていいぞ?」
他の人もいたので気持ち丁寧に話したら変な顔をされてしまった。今のは気を使うとこだと思ったんだが違ったらしい。
「そうだこいつらはこっちがアルバトロスでそっちがセブンシー」
ヨルさんに紹介された人はペコリと頭を下げてこっちをじっと眺めている。アルバトロスと紹介されたのが20代くらいに見える男で、俺より背の高いヨルさんより長身だ。逆にセブンシーと紹介されたのは少女で俺よりも背が低く、10代前半にみえる。
「弱そうなクソガキね」
「セブンシー…たとえそう思っても言葉は選んで使わなければなりませんよ?」
「2人とも充分ひどいだろうが…リョータに今は強さは求めていないんだから許してくれよ」
…えーなんなのこの人達。ヨルさんも気になること言ってるし。
「口が悪くてすまんな。探し物なら人手があった方がいいかと思って連れてきたんだが…」
「友人は選んだ方がいいですよヨルさん…」
「友人? 誰がだ?」
ん? 違うのか?? てっきり手伝いを友人に頼んだのかと思ったんだけど…
「ほんと失礼なクソガキなんだわ」
「私達が友人などそのような事実はありえませんね」
「お前ら少し黙って、余計ややこしくなるから…えーとこの2人はだな俺の護衛騎士だ。普段町中にいる間は離れたところからどちらかがついてきているのだが、今回は手伝って欲しいから近くまで来てもらったんだよ」
ああそうか一応ヨルさんは次期領主になるから護衛くらいついていて当たり前なのか。というかそれにしては口が悪すぎないか…まあ俺の護衛とかじゃないから何でもいいんだが。
「はあ…じゃあ外へいきますか」
「外? いや今日はまず情報収集からだな。見かけたのが数日前だというとまた町に戻って来ているかもしれないから、それを確認したのち明日西門の外から探しに出よう」
ふぅ~ん…そういうもんなんだね。まあこの世界のことは俺じゃあわからないからそのへんは知ってる人に合わせておこう。
というわけでなんか口の悪いヨルさんの護衛騎士も一緒に情報収集が始まった。町の中を練り歩きながら道行く人に片っ端から話しかけているが、これ分かれてやった方が効率いいんじゃないか? まあそれじゃあ護衛の意味がないから出来ないってことなのかな? まあいいか。それとあの口の悪い2人に話しかけられた人ご愁傷様。じつはたまにもめて喧嘩になりそうだった。こんなんで護衛になっているんだろうかと疑問に思うがまあ俺は知らん。そして情報収集は大したものが集まらず終了となり…
「わかったことはこれだけみたいだな」
「やっぱりもう町にはいないんじゃないかな…今日見たとうい話は聞かなかったし」
俺が見たころが最後だったみたいでここ数日単独でうろついているようなネコを見かけた情報はなし。俺と同じく西門の外へと飛んでいくのを見た人が数人、後はその少し前に町中に突然現れた騒ぎがあったくらいだった。