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328. 案内

「ガルシアさん…?」


 その言葉を聞いたのは数日前、ふらりと気分転換にフィレーネへ行ったときに遭遇したガルシアさんが別れ際に言っていた言葉。あの場には俺とガルシアさんしかいなかったんだから間違いないだろう。聞き耳を立てていた誰かとかいう可能性もゼロじゃないけど、限りなくゼロに近い。だけど…


「なんだ、じろじろみて」

「いや…」


 言われてみれば髪の毛や目の色はガルシアさんと同じだ。髪を整え服装を変えただけで誰だかわからなくなるほど変わるわけがない。


「本当に?」

「なんだ疑り深いな…あれだ、スキルも使っていたから余計にわからなくなったんだろうな。ほら」

「……!?」


 突然見た目は変らないのに妙に知った人物に思えてきた。なんだこのスキルは。


「このスキルを使用してさらに見た目を少し変えるだけでまるで別人になれる。ただの変装系のスキルだな」

「横から失礼いたします。ルシア様本題に入られた方がよいかと」

「ノリン急かすなよ」


 …あれ? どこかで聞いたことがある名前だな。俺がメイドの方をじろじろと見ているとそれに気がついたガルシア…ルシアさん? がまたしても子供っぽくニヤリと笑う。


「お、気がついたか? ノリンは俺のパー…」

「ルシア様?」

「…と、ふざけるのはここまでにしておこうか。断じてノリンが怖いからじゃないぞ?」


 なんでもいいけど、確かにさっさと話を進めたほうがよさそうだ。馬車の外に人の声が増えてきているみたいだからな。


「で、ブンナーはどうなっている? こっちはブンナーに行かねばならないのだが」

「何をしにブンナーへ?」

「あーそれは…」

「大丈夫です」


 ちらりとルシアさんはノリンさんの方を見てから俺に向き直る。


「大丈夫ってなにが…?」

「そうかリョータは味方がわなんだな。ノリンがそういうなら問題ないな。実は俺はブンナーの周辺の領主になることになったんだ。ここは以前戦争があってから領主がいないままだったからな」

「…って領主? ちょっと待ってください」


 俺はルシアさんに背を向けるとイヤリングに手を当て響子と連絡を取った。領主のルシアさんと一緒についてきた人達を町に入れていいか御神木様に聞いてもらう。するとすぐ返事が返って来て連れてきていいとのこと。


「ルシアさんは今ブンナーで何が起こっているか知っていますか?」

「詳しくは知らんが…ジルベスターが何やら動いていたようだなここで。ヨルが騒いでおったのを目撃した」


 なるほど、御神木様のことは知らないけどジルベスターさんとヨルさんの事情は多少なりとも知っているってことか。


「そうですな…なら、詳しい話はブンナーの中でしましょうか」

「いやだからブンナーはどうなったと聞いたんだが…」

「ブンナーの中へは俺が案内できます」

「それはどう…いや、後で話してくれるんだろう?」

「それはもちろん。それでですが、外にいる護衛の人たちですけど全員馬車に触れていてもらえませんか? 俺は馭者台で案内するので」

「よくわからんがそれで俺たちはブンナーへ行けるのだな?」


 俺はその言葉に首を縦に振った。

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