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319. 御神木様の記憶

 最初に見えてきたのは真っ暗な場所にいた御神木様が何かに気がついて顔をあげたところだった。両手を眺めあたりを見まわした後立ち上がる。ふわりと御神木様が浮いたように見えたがどうやら足元の景色が変化したようだった。次の瞬間御神木様は御神木の傍へと立っていた。


「守りが…」


 守りというのは巫女との契約で半径2kほどに発生する聖域のことだろうか。この反応を見るとその聖域が無くなってしまったのだろう。つまり巫女が巫女でなくなる状況になったということ。例えば…巫女が死んでいなくなるとか。


 次に見えてきたのは聖域が無くなって周辺が荒れ始めている状態だった。御神木様は真っ黒な場所ではなく御神木の傍でその様子を眺めている。すぐ目の前には見知らぬ人が数人…あたりの地面をスキルを使ったり魔法を使ったりしながら掘り返していた。


「こんなでっかいものを運ぶことになるとはね~」

「仕方がないよ、王族にも見栄というものがあるんだろうさ」

「ほら、話ばかりしていないで手を動かせ~」

「へーい」


 どうやら御神木様を掘り出しここからどこかへと移動させようとしている。話からすると御神木様を移動するように命令したのは王族らしい。御神木様は声が届かないことがわかっているのか無言でただ涙を流していた。


 場面が切り替わる。


 御神木様の目の前で祈る女性…これはルリアーナさんだ。ということはこの御神木様はエルフの里にいる御神木様になる。


「どうかされましたか?」


 御神木様の視線があらぬ方を向いていたのに気がついたルリアーナさんが声をかけた。目を細め遠くを見つめる御神木様はゆっくりと視線をルリアーナさんへと戻しつぶやいた。


「森にやってきた若者の保護を」

「森に…ですか?」


 疑問に感じながらもルリアーナさんはその場を立つ。

 少しするとルリアーナさんに連れられて一人の男性が…ってたけだ。今のたけよりも少し大人びた感じの。たけは一人ではなくもう一人一緒に連れてこられていた。10歳? いや8歳かなそのくらいの女の子でその顔はどう見ても雪乃の顔で…


 御神木様の前に連れてこられた2人は説明を受けた。それは世界が繋がってしまったためにその地点にいたたけと雪乃がこの世界へと来てしまったという話だ。自力で帰るのは構わないが御神木様が帰すことは出来ないそうで、そのお詫びとしてこの世界で生きていくための力を2人は貰う。たけはこの世界で生きていくための強さを、雪乃はこの世界で生きていくための知識を望む。


 何度か御神木様とたけと雪乃が会話をするのが通り過ぎると。そのうちたけしかいなくなった。御神木様の記憶なのでこのあたりははっきりとしていない。それでも時間は過ぎていく…姿がほとんど変わらないルリアーナさんと年を取っていくたけ、どうやら2人は魔方陣の研究をしていたようだ。


 ある日遠くで魔方陣を使用しているのを御神木様は眺めていた。御神木様の顔が歪む…


「あれは失敗作…」


 膝をついているたけに寄り添うルリアーナさんと魔方陣を奪って去っていく人達。


 次に場面が変わると御神木様の前でルリアーナさんが泣いていた。


「泣いても何も変わりませんよ? それよりも彼を助けたいと思わないのですか」

「助ける…助けたいですっ」

「ならば子供たちの成長を待ち、救世主となるものをここへ」

「救世主ですか?」

「彼をここに連れてきてこれまでのことを話せばよいのです。必ず手を貸してもらえます…そうですね、子供たちが20を超えたあたりで人族の住む町へと向かわせれば…彼はそこに現れます」


 これが俺のことか。話を聞いたルリアーナさんが困惑した顔をしていた。その傍らにはまだ歩き始めたばかりの幼い女の子が2人。ルーとジエルだな。


 また場面が変わった。


 さびれた場所に建つ御神木が枯れ始めていた。その御神木に背を預けて座る御神木様。その視線の先でちらほらと人が通過する。その中の一人が御神木の元へとやってくる。御神木様の幹に触れ何かぶつぶつと言葉をだす。


「…だめか。御神木だというから何か力を秘めているかと思ったのに」


 顔をあげるとそれはとても見覚えのある人…雪乃だ。姿を見なくなってから何をしていたんだ? そのまま雪乃は去っていき、御神木様は何もしゃべらない。


 場面が暗くなる。御神木様の前には床に座り込んでいる俺が…これはあれか。俺が召喚されたときのやつだ。ここまで記憶を眺めたところで見えていたものが薄れていく。どうやら複製が完了するまでの間見せられていたものだったのだろう。見えている景色は作戦をやっていた場所、目の前には御神木様がいて横から俺の顔を覗き込む響子がいた。

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