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310. 見落としていたこと

 ガルシアさんと別れた俺は再び町の中をぶらぶらとしていた。こうやって見るとジルベスターさんの行動がただの悪い夢だったんじゃないかと思えてくる。町の中を歩く人は特別何も警戒もしてなく、今までと何も変わらない。


「あ…」


 露天の通りに出た。そういえばここでルーにガラスのコップを売ってもらったりしたんだよな。そのまま足を進めルーとジエルが住んでいた場所へと足を運ぶ。ここで初めてジエルにも会った。というかこの家2人が飛び出したままで今どうなっているんだろうか? 意味がないことだと思いながらもつい扉へと手が伸びてしまう。コンコンと小さな音がした。


「なんてね」

「はーい」

「…え?」


 ルーとジエルはエルフの里へ帰ったのでここには誰もいないはずなんじゃ? 声がして足音が扉の方へと向かってくる。ガチャリと音がして扉から女の人が出てきた。


「えーと…誰かしら?」

「…あ、すみません以前住んでた人どこへ行ったか知りませんか?」

「私の前に住んでた人のこと? さあ…気がついたらいなくなってたらしいわよ?」

「そ、そうですかすみませんでした」


 お礼を言って俺はその場を立ち去った。びっくりした…まさかすでに他の人が住んでるとは思わなかった。2人がそこにいないのをわかっていたのにな。


「帰るか…あ、すみませんっ」

「い、いえ!」


 移動を始めたら丁度通った人とぶつかってしまった。なぜか今の人俺のこと見て驚いた後なんか嬉しそうな顔していたけれど…気のせいかな? ちょっと見覚えのある顔ではあったんだけど、誰だろう。思いだせないってことはそれほど重要な人ではないよなきっと。


 箱庭に戻ると俺はその足で店の方へ向かった。


「あ…」


 今まで外に並べてあったテーブルがないのを見て、もう沢山食事を用意しないでいいことを思い出す。たくさんの人が手伝ってくれて準備は整ったんだ。後残すところ俺がスキルを入手するのみ。まさかここまで手に入らないものだとは思わなかったよ。ガチャさえ引けば出ると思って続けていたけど全然でないんだもんな…


「何しているんですかリョータさん」

「あれ、ルーこそ」

「私は久しぶりにお菓子を買いに来たんですよ」


 店の前にいるとルーがやってきた。ルーがお菓子を買いに来るのは珍しいことだ。大体買いに来るのはジエルばかりだからね。


「せっかくですから一緒にお茶にしませんか?」

「ああいいよ」


 2人で店に入るとお菓子を選び調理場でお茶を入れテーブルについた。


「ふぅ…ガチャの調子はいかがですか?」

「あーだめだね。全然出る気配も感じない」

「そうですか…どうやら御神木様がかなりジエルを急かしているみたいなんですよ」


 そう言われてもな~ ガチャはランダムだからどうしようもないし…


「そのせいなのかジエルったら絵を描いてばかりいるんですよ。それで紙が無くなると壁にまで描く始末で…」

「なるほど、ルーはその後始末で疲れててお菓子食べにきたんだ」

「幼い行動は巫女だから仕方がないんですけどね」


 くすりと笑ったルーはカップに口を付けたところで動きが止まった。


「リョータさん…私思い出したんですけど、物を作るようなスキル持っていませんでした?」

「持ってるよ?」

「ですよね…椅子を作るのを見たことがありますし」


 そういえばルーがいるときに初めて使ったんだったかな。


「何か作る??」

「あ、いえ…その作るとはこういった物だけしか作れないのかと」

「どういうことだ?」


 たしか創造スキルは材料があれば消費魔力が少なく物を作れるスキルだったはずだ。


「御神木様は必要なスキルをガチャで手に入れるように言われましたか?」

「たしか…ガチャというスキルでスキルが入手可能ですよね? と言ってたかな」


 言われてみればガチャでスキルを手に入れろとは言っていない…かも。


「ってまさか!」

「はい、スキル作れるんじゃないでしょうか」


 驚いて俺はテーブルに手をつき椅子から腰をあげた。勢い余り椅子が後ろで倒れる。目の前にいるルーの視線と背後から受ける何事かいというようなエルナとミイの視線が痛い。

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