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307. 雪乃を探す

 あの後、たけがかばった子供たちはすぐ起き上がり、親を求めて走り去っていったが、たけは目を覚さなかった。


 俺と響子は一旦箱庭にたけを預けに戻り、響子はたけの治療にあたってもらう。で、急いで食事を作業員たちに配布してから俺はルーと嫌がっていたシズクを連れて、町へと戻った。早く金属を撤去して雪乃も見つけないといけないからね。


 念のためにイヤリングで連絡を入れてみたが返事は返ってこなかった。身動きが取れないのかもしれない。


「う~…」


 シズクが唸りながらもちゃんと金属の撤去をやってくれていた。若干涙目なところを見ると、やはり匂いがきついのかな。


 ルーもすぐ近くで作業をしていて、俺たちは広場を中心に片付けていた。たけと響子は一緒に動いていたはずだからね。たけが見つかったあたりにいるはず。


「おーい、にーさんたち集めた金属はどうしてるー?」

「あーこっちは処理できてるんで大丈夫ですよ」

「そうなのか? だったらこっちで集めたやつも頼めねーかな」

「いいですけど…この辺りに埋まってしまった友達を助けたいんで、そのあとでいいですか?」

「ん~? まだ誰か埋まっていたか! そういうことだったら俺も手伝うぞっ」

「ありがとうございます」


 どうやらこのドワーフの男も手伝ってくれるみたいだ。ありがたいことだね。


「おーい、手の空いてる奴らこっちに手を貸してくれ~」


 おおー…さらに人手が増えた。周辺で金属を集めていた人たちだ。ほんと助かる! 人が埋まっているかと思うと作業も中々進まないからね。


 手を貸してくれたドワーフたちもいて撤去作業がどんどんと進む。あらかた広場に転がっていた金属の回収が終わったが雪乃の姿が見当たらなかった…もう一度イヤリングで連絡を取ってみるがやはり反応はない。まるで若干感じていた嫌な予感が真実だと言っていたかのようだ。


「友達いなかったね~ ちゃんと逃げれたんじゃないか?」

「だといいんですが…あ、ご協力ありがとうございました」

「いいって。もともと俺らが積み上げたせいだしな。まあとどめをさしたのは見たことがない人族の女の魔法だったが」

「…あっ そうだ、まだ崩れないように押さえてる残りを片付けないと!」


 結界で崩れないように押さえていた積み上げられた金属の残りがまだそのままだった。広場が片付いたのでこれで避難してもらえれば解除するだけでいい。後は人がいないのをいいことに走り回って回収が出来る。というか気のせいだと思いたくて作業に没頭したかった。


「広場付近の人を避難させてください~」

「ん、ああこれ押さえてくれてたのお前かっ わかったちょっとしばらく広場に来ないように周りに言ってくるわ」

「ルーと響子も広場より離れた外側の金属回収を頼む」


 広場からどんどん人がいなくなっていく。それと同時に姿が見えない雪乃のことが気になって仕方がない。魔法を使った女…子供をかばったたけ…雪乃がたけを攻撃したのか? 雪乃がいないから本人から聞くことが出来ないし、たけはまだ目を覚ましていない。


「おーい避難おわったぞ~ 俺も離れるからゆっくり頼むなー」


 ちらりと声を張り上げる男の顔を見る。そうだ今はまずこれを片付けなければ。俺が結界を解除すると今まで抑えられていた金属たちがその状態を維持できずパラパラと崩れ落ちてきた。たまに俺の頭や肩にぶつかってくる感じがするが痛みは感じなかった。あーあたったかな? 程度だ。ははは…このステータスだとこんなのが降って来ても全然平気なんだ…そんなことを思いながら俺はどんどん足元が金属で覆われていくのをぼんやりと眺めていた。

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