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306. 救助活動

 崩れた金属や座り込んでいる人たち、一部崩れて埋まってしまった人たちの救助をしている人たちを横目に見ながら俺はこの町の町長の元へと走った。場所は中央広場から東の方。こちら側には思ったほど金属は落ちていなかったのですぐに町長の家にたどり着いた。


「町長さん!」

「なんだお前は! …さっき落ちている金属を回収していいかと聞いてきたやつらかっ まさかお前らがあの金属の山を崩したのか!?」

「違います! 地面が揺れて崩れてきたんですよっ それでですね、崩れてしまってはもう邪魔ですしその金属に埋まってしまった人たちもいるんでこれらも片付ける許可をいただきたいんです」

「…あの大量の金属をか? ふんっ 出来るんならやればいいだろう」

「後で返してくれって言われても返せませんからね!」

「好きにしろっ」


 よし、言質は取った! これで金属も回収して片付くし、埋まってしまった人たちも助けることが出来る。すぐに俺は走り出し一番ひどかった広場へと向かう。あそこはまともに崩れてきて広場の半分ほどを金属で覆っていた。まだ上には結界で落ちないようにとどめてある金属もある。まずは足元を片付けて、町民を避難させてから結界を解除して回収しよう。


 走り抜けたほうが早いんだが金属に埋まった人も一緒に踏みつけてしまうので、ここは慎重に這うように順番に回収をする。これだけたくさんあると移動させる場所もないくらいなので周りにどう思われようと気にせずどんどんインベントリへとしまっていく。その間にたけと雪乃に連絡をしてみるが反応がない。


「おい、あれ…」

「ああそうか、俺たちもこいつらをマジックバックにしまえるだけでもしまうぞ!」

「そうだな!」


 どうやら他の人たちも手伝ってくれるみたいだありがたい。


「なあ…さっきのみたか?」

「あーあれか。あの魔法はやばかったな」


 魔法?? 金属を拾い集めていると今話す必要があるのかわからない会話が聞こえてきた。金属を拾っているだけなので俺もその話に耳を傾けてみる。


「こんなとこで魔法使うやつがいると思わんかった」

「だよな~ そんなことしたからこれ崩れたんだろ?」


 …え? 地震じゃなく魔法が原因で揺れたの?? だとするとその人にこの後始末をしてもらわないとだめだろう。金属に埋まってしまった人たちとかケガ人とかいるし…


「あのあたりだっけ。一番崩れている場所。あそこにいたやつら大丈夫だったかな」

「てゆーか。そこにいた男に向かってあの女魔法使っていなかったか?」

「あーあーあーそうだっったそうだった! それで近くにいた子供も巻き込まれて…」

「えっ 巻き込まれた子供があそこに埋まっているんですか!」

「あ、ああ…逃げきれてなければ多分な」


 俺は話していた人たちの会話に割り込むとその一番崩れている場所へと金属を回収しながら向かい、慎重に上にある金属から回収を始める。確実にいるとわかっている人から救助をした方がいいからね。お…手が見えた!


「大丈夫か!!」


 手が見えた人の周りを急いで回収するとその人の下に小さな子供が2人抱えられていた。なるほど…逃げきれなくてとっさにかばったのか…って。


「た、たけ?」


 子供をかばっていたのはたけだった。どおりでイヤリングで話しかけても反応がないはずだ。となると雪乃も近くに埋まっている可能性もあるな。たけと子供たちはパッと見た感じ外傷は擦り傷くらいか。だったら下手に揺らさない方がいいかな。頭をぶつけていそうだ。


「りょーちゃん!!」

「丁度よかった響子ケガ人たちを回復してやってくれっ」

「うん。ここまで見ながら来たけど結構な人数いたよ。流石にひとりずつとか時間掛かりすぎ。だからマジックポーション頂戴っ」

「それはいいが…」


 俺の返事を待つ前に響子は魔法の準備に入ったみたいだ。杖を構えると周辺に淡い光が漏れ始める。


「りょーちゃん魔力足りない! ポーションをっ」

「あ、ああ」


 両手で杖を持つ響子は自分でポーションが飲めないので、俺が蓋を開けて口に差し込んでやった。


「もっと!」


 3本飲み干し4本目を口に差し込むとそれをぺっと吹き出すようにして口から離した響子は杖を上へと持ち上げた。


「エリアヒーリング!」


 響子の周りに浮かんでいた光が町を包むように広がる。すごい町全体に回復魔法をかけている。やっぱり腐っても聖女の回復はすごいってことなんだな。

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