304. さらに北へ
あの後訪れたドワーフの町でゴミ拾いを終え、箱庭で一晩過ごした後再びルーに馬車を出してもらい皿に北上した。ちなみに予定通り町を囲っていた金属たちはそのまま放置してある。あれも全部となると集めるのも大変だし、なんとなくあんなのでも壁の役割になっていそうだからね。それに俺たちがさらに先に進むのはやはりガチャでスキルが出なかったからでもある。
ガチャポイント:4481→86485→1485
ますますポイントがない状態でもう手に負えないくらいだ。
「なあ良太…」
「ん?」
「馬車はケツがいてーなっ」
馬車の荷台から声をかけてきたのはたけだ。馬車での移動も体験したいと言ってついてきている。
「当り前じゃない何も敷かずに座ってるんだから…」
「…そういえば雪乃は何に座ってるんだ?」
となれば当然雪乃もセットでついてくる。
「これ? もう来ていない服とかよ。クッション代わりにいいかと思ってね」
「なっ ずるい! 俺の分は?」
「古着くらい自分のがあるでしょう?」
「荷物になるからもうとっくに処分して持ってない!」
「あきらめて」
「酷い!」
なんというか馬車での移動が随分賑やかになったな。なんでもいいなら服は複製で出してやれるがクッションにするために出すのは違うから俺は知らないふりをする。こんな状態でも馬車に乗りたいと言ったんだから自分で用意するべきだ。
「なあなあ良太」
「なんだ?」
雪乃との話を切り上げたたけは俺に話しかけてきた。
「さっきから気になってたんだけどさ。あのデカいのは何だと思う?」
「あーあれか…」
今俺たちが向かっているのはもう一つあるというドワーフの町だ。その進行方向に向かうほどだんだんとその姿がはっきりと見えてくるのもがある。アスの背中に乗って空の上から見た謎の建築物、それがその町がある方向にあるのだ。
「ルーはあれが何かわかる?」
「あれですか…あれでしたらもうすでにみなさん見て知っているものですよ」
知っているもの…? つまりこの異世界にやって来てから俺たちの行動でルーが知る範囲で共通して理解されているものということだよな。たけ達との共通する行動はかなり少ない。ダンジョンと箱庭と昨日よった町くらいだ。
「…ってまさかあれなのか?」
「バカみたいですよね…どうやったらあんな状態になるんでしょうかね」
「なあ、あれってなんだ?」
どうやらたけはわからなかったらしい。その後ろでため息を雪乃がついているところを見ると、彼女にはあれがなんなのかわかったのだろう。呆れた顔をしていた。
「…あ!」
馬車は更に前に進みだんだんとそれが何なのか形がはっきりとしだしたあたりでたけが声をあげた。
「へ~こっちの町は普通に塀に囲まれているんだね」
「そう見えますか?」
「え?」
いやだってどうみても普通の塀が…あれ? 気のせいかその塀は日差しを反射してたまにきらりと光り視線を遮ってきた。
「あんなにたくさんの金属で町を囲うとか普通じゃないと思うんですよ」
町にかなり近くなりさらによく見えてきた。金属で出来たただの塀だと思ったら、よく見るとところどころぼこぼことしていて不揃い…
「あれ~…これももしかして前の町と同じ…」
「そうなんです。ちょっと違うところは叩いて固められているところですか?」
「誤差だろうそれ!」
「私もそう思います…」
気のせいかルーはドワーフに対してちょっと扱いがひどい気がする。相性が悪いんだろうか? それともよくあるドワーフとエルフは仲が悪いってやつか? だけどドワーフからはそんな感じは見えないんだよな~




