297. 成長?
土に復活剤を混ぜる作業は順調に進んでいった。夜のうちに混ざり切った土を回収し新しい土を出しておく。昼間は作業員たちの食事の用意とガチャを回す。
ガチャポイント:164481→54481
ポイントはかなり心もとない。そしてまだ出ない魔力譲渡というスキル。もしかすると今まで欲しいと思えるスキルが出すぎていた可能性もある。それかかなりレア度が高いのかもしれない。言われてみれば自分のステータスを他人に渡すようなスキルは今まで一度も出たことがないんじゃないかな。俺のステータスを人に渡したら恐ろしいことになるのは目に見えているし、奴隷とかに命令してステータスを奪うことも出来てしまう。かなり貴重なスキルということなんだろうね。奪うで気がついたけどステータスを奪うようなスキルも見てないな。
で、だ…突然こんなことを考えているのはある意味現実逃避をしていたわけなんだが。
「……っ」
今俺の目の前には俺の身長よりやや高いくらいの生き物がいるわけだ。見た目は竜、そんなものがこの箱庭の中にいるという不思議。いや…わかっているんだ。地図で見るとすぐにこの存在が何なのかがわかる。鑑定をしたっていい。
「アス…どうなってんだこれは?」
普通に考えたらありえない成長。それとも竜の成長というのはここまで周りと違うものなんだろうか? はっきり言ってそのあたりのことを知らないので真実はわからない。もしかすると戻されてた時間がゆっくりとだけど戻って来ているだけなのかもしれないな。
「キュウゥ~~」
「お?」
なんだサイズが変わってもやることは変らないんだな。頭を俺の頬にこすりつけてきた。今はまだそれほど大きくないからいいが、元のサイズに戻ってやられると…客観的に見たら俺が食べられてるみたいになりそうだ。
「ん、なんだ?」
「キュッ」
アスがしきりに俺の服に噛みついて引っ張る。首を後ろの方へと回そうとしているな…
「もしかして背中に乗れってことか?」
「キュ~~~」
へ~ まだそれほど大きくないが確かに一人くらいなら背中に乗れそうだ。だけど鞍とかなにか用意しないと滑り落ちそうだな。ネコルーの鞍じゃ代わりに使えないし…今度カルガードに作れないか聞いてみるか。
「よっと…」
アスの背中によじ登り座ってみる。視線が少し高くなったな。取り合えず今はダークネスで自分とアスを縛り付けておくか…そういえばダンジョンを走り抜けるときにネコルーにも使ったっけ。
「キュ?」
「ああ、準備は出来たぞ」
軽い浮遊感がきてアスが飛び上がる。だんだんと地面が遠のいていくな。それほど高く位置ではないが建物よりは高い場所をゆっくりとアスが飛び回る。どうやらアスもまだ飛び慣れていないみたいだね。いきなり人を乗せたりして大丈夫なんだろうか。
「おっ」
たけを発見。相変わらず雪乃と一緒に行動しているな。どうやらこっちに気がついたみたいでちょっと驚いている。だけど俺が乗っているのに気がつくと何事もなかったように雪乃と会話を再開。あれ…雪乃はどっか行くみたいだな…もしかして会話するチャンスか?
「…なんだ」
すぐ近くにルリアーナさんがやって来ていた。どうやら気を使って距離を開けただけみたいだ。少し離れた場所で雪乃は座っていた。
「…キュッ」
「なんだ?」
突然アスが落ち着きが無くなってきた。というかこれって…
「アス? 体縮まっていないかっ!?」
気のせいでなければさっきよりアスの体が小さくなっている。
「ちょっ このまま落ちたらしゃれにならんぞ!」
「キュッ キュッ」
足元ではルリアーナさんとたけが慌てている。2人のとこに落ちるのもやばいだろう。そんなことを考えている間にアスの体は見覚えのあるサイズになっていた。俺とアスはダークネスで繋がったまま落下していく。
「もしかして成長じゃなくてスキルかよ~~~~~~っ」
「キュゥゥゥゥ~~~~!」
慌てて浮遊スキルを使用し地面へと激突は避けたが、小さなアスにぶら下がっている俺という状態でたけとルリアーナさんの前に顔を出すことになった。




