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292. 作業開始

 いいことも悪いこともおきるときにはいっぺんにやってくるものだと誰かが言っていたのを思い出した。


 箱庭にある自分の部屋で横になっているノノさんに視線を向けつつそのわきに座っている響子に声をかける。


「ノノさんの状態は?」

「…大丈夫安定したよ。ただちょっと血を流しすぎちゃったみたいで体力が回復しきるにはまだ時間がかかりそう」


 その言葉に軽く息を吐き出し俺は体の力を抜いた。本当に勘弁してほしい…目の前で知り合いが死ぬとか体験したいとも思わない。もちろん目の前じゃなければいいわけでもないんだが。


「ねえりょーちゃんこれ見て」


 響子がノノさんの手を取りそこを示す。ノノさんの左手首には見たことがある腕輪がはまっていた。なるほど、どおりで会話と行動が少し変だと思った。これは俺の腕にもはめられた腕輪だ。


「ジルベスターさん…」


 俺はその名を口にしながら腕輪に触れインベントリにしまった。


「りょーちゃん大丈夫?」


 どうやら俺はよほど変な顔をしていたみたいで響子に心配されてしまった。


「大丈夫…とは言い切れないが、これ以上同じような犠牲者が出ないといいのだけど」

「えーとそうじゃなくて、もう朝になっちゃうけど寝なくてよかったのかな~と。ノノさんのことは私が見てるから寝てきてもいいよ?」

「あーじゃあちょっと寝てくる」


 すっかり忘れていた。今日は朝からカルガードが土を混ぜるために作業員を連れてくるんだったね。俺がいないとその作業員が箱庭にはいれないし、そもそもまだ土も外に出していないし住む場所も用意していない。それなのにこんなに疲れたままじゃ対応が仕切れない。少しでも寝て体調をととのえないとな。


「…ってよく考えたらノノさんにベッドを譲ったから俺どこで寝ればいいんだよ」


 仕方なく箱庭の外に出てエルフの里で借りている部屋のベッドで寝ることにした。まあ体は横になれたが結局眠れないままカルガードが来たと連絡が入り箱庭へと戻ることに。


「なんか…やけに疲れてるみたいだな? あれか、やっぱ土を集めて運んでくるのは大変なんだな」

「まあそんなとこだな。で、作業員はどこに集めてあるんだ?」

「ああ、一応今は店の方に来てもらってある」

「わかったじゃあそっちに迎えに行くわ」


 カルガードに先に扉で戻ってもらって俺はテレポートで店の前までやってきた。あまり人目に触れない方がいいので、デール商会の一室に集まってもらい箱庭の扉を開く。ちなみにこの作業員たちには箱庭のことは教えていない。他の人も連れて移動が出来る扉で作業が出来る場所へと移動するということになっている。


「んじゃ説明するぞー」


 箱庭へ入り家と作業をするための場所まで連れてきた。まあ連れてきた時に家を設置したので軽く驚かれた。先に出しておかなかったのは失敗だったね。だけど作業員の人数は聞いていたけれど性別は聞いていなかったんだから仕方がない。それによって必要な家の数が変わるんだし。設置した家は3軒。男性が9人で女性が6人だった。もう一人女性が多いようなら4軒設置したほうがよかっただろう。カルガードが説明をしている間に俺は橋を渡り土山をいくつも取り出していった。その近くには土の復活剤の必要量を複製して置いていく。混ぜ終わったものはわかるようにしてもらっておき、後で俺が回収すればいいだろう。

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