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ルー視点①

 私は森の中を歩いていた。すぐそばにある町にやって来て生活するようになってもう2年は立つ。この森を歩くのもすっかり慣れていた。私が森にきたのは薬草採取のため。自分が欲しいわけじゃないんだけど、たまたま手に入れた薬草を同居人へ渡したところたくさん欲しいと言われてしまったのだ。どうやら彼女はポーション作りにはまってしまったらしい。もちろん私も売ってお金にすることが出来て助かるのでいいのだけど、本来私達がここにいるのはこんなことが目的なわけじゃなかったはずだ。


「~~~~~~」


 ん? すぐ近くから声がした。えーと…もうちょっとだけ奥かな? 冒険者もうろつく森なので誰がいたっておかしくはない。だけどちょっとした好奇心から私はその声が聞こえてきたほうへ足を運ぶ。


 男の子? 男の人? ちょっと後姿なのでどっちかわからない。その人物が何やら手を振り回していた。何をしているのか全く分からない…


「………ってやり方知らねぇーーっ」

「きゃっ」


 驚いてつい声が出てしまった。もちろんその人物は私に気がついてゆっくりと振り向いた。男の人というより男の子という感じだった。


「な、何しているんですか?」

「何って…えーとスキルの確認?」


 ついたずねてしまうとあっさりとそんな返事が返ってきた。コテンと首を傾げる姿はやっぱりまだ子供という感じがする。スキルの練習ですか、そういえば手に持っているものがあるますね何に使うんでしょうか。


「はあ…そうなんですね。スキルによっては町中では危ないかもしれないし納得です。それであの…その手にあるものは何ですか?」

「ん? ああこれは…水だね」


 あれ? 質問しているのは私のはずですよね。なんでこの子が不思議そうに自分の手を見つめているのでしょうか? それにしても綺麗ですね~ 光が当たるたびに眩しく感じます。


「中身はそうでしょうけど、その器のほうです聞きたいのは。光に当たるとキラキラしてとても綺麗です」

「ただのコップだけど…えーとガラスのコップ?」

「ガラスですか…これが」


 初めて見ました。ガラス製品はとても高いので聞いたことがあるだけで見たことがありませんでした。お母さんなら持っているかもしれないですが、見せてもらったことはありません。


「えーと…いる?」

「ええっ こんな高い物もらえません! それに買い取るお金もないですし…そうだっ この後時間ありますか?」

「うんまあ」


 驚きです。気軽にこんなに高い物をあげようとするなんて思いませんでした。まるで外で暮らしたことがない人のようですね。そんな無知な人が一人でいるわけもないですから違うと思いますけど。それとも本当は買い取って欲しくて言ったのかもしれないです。


「では少し私のお手伝いをしてください。そうしましたらそのコップを私のお店で売りましょうか。いらないのならお金にした方がかさばりませんよ?」

「商人なの君?」

「はい、あ、まだ名乗っていませんでしたね。私はルー・ラライラ。一応商人をやっています」

「俺は高岡良太。良太って呼んでくれ」

「リョータさんですか。では私はルーと呼んでくださいね?」


 ちょっと失敗しました。まだ名前も言っていませんでした。リョータさんというみたいです。あまり聞いたことがない響きですね。このあたりの人じゃなのかもしれません。でもよかったリョータさんが薬草採取を手伝ってくれることになりました。お金になるからいいんですけど、ずっと一人で集めているのはいい加減飽きてきていたんですよね。


 リョータさんに薬草の種類を教えると首を傾げられました。ひとつづつ見比べながら真剣ですね。それほど難しい作業ではないと思うんですが…初めのうちは私もこうだったかもしれないので黙っていましょう。こうやって話をしているだけでも楽しいですからね。

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