276. 急いでください
御神木様と御神木様が向き合ってお互いの姿を視界におさめた。その様子を眺める俺と響子とジエル。顔はそっくりだけど身長が結構違う御神木様たちは何も言葉を口にしないままお互い手を伸ばしあう。すると2人の間から光があふれ出し眩しくて目を開けていられなくなった。
しばらくするとその光が収まり御神木様と御神木様は手を取り合っていた。
「ふむ…情報の共有が完了じゃ」
御神木様はそういうとにこやかな顔をしたが御神木様はどちらかというと顔を曇らせている。ややこしいな…まあいい。
「御神木様聞きたいことがあるんですが?」
「なんじゃ?」
「なんですか?」
「…えーと箱庭についてです」
どうやら御神木様事態もどちらが呼ばれているのかわかっていないみたいだけど、俺は気にせず話を進める。箱庭の広さが変わったことを聞いてみると魔力量で変化するとのことだった。
「箱庭はどうでも良いのですが、できるだけ早く御神木の復活をお願いします。先ほど情報の共有をしましたので、これで同じくらいの御神木になれると思いますから」
情報の共有って御神木自体の情報の共有なのか。
「…猫かぶりか? 妙な口調だのう」
「き、気のせいじゃないですかっ?」
言われてみれば一番最初にあった時と口調が違った気もする…?
「それよりも本当に急いでくださいね。いやな感じがするのです」
「そうじゃのう…たしかにいやなかんじじゃ」
「何があるのですか?」
「そんなことはしらん。ただ、この先に進むのが嫌な感じがするのじゃ。けど避けるわけにもいかぬしの」
この先っていうと御神木様を植えることだよな? まだどこに植えるのかわかっていないが。とにかく急げとのことらしい。
ということで何やら急がないといけないらしいので用事を済ませるとすぐに港町までテレポートで戻って来た。ちなみに用事というのはルリアーナさんに執事のスキルを渡すことと、箱庭の扉の登録だ。これを忘れて帰ってしまうと後でルーやジエルが怒られるかもしれないからね。
…で、また船ですよ。まあ今回はシズクと響子が外に出ていてくれるから俺は箱庭でまったりとしている。船は本当に慣れない。まあ慣れるのが先か、テレポートのレベルが上がるのが先か…
箱庭でまったりとしながら俺はステータスカードを眺める。そろそろ本格的にスキルを手に入れるためガチャをたくさん回さないといけないよなと。そんなことを考えていると中央の島についた。時間的に次の便に乗れないので今日はまたここで夜を過ごすことになる。
コンコン…
「ここでいいのかしら~?」
そんな夜に家の扉が叩かれ外から声が聞こえてきた。地図を取り出しやってきたのが誰かを確認するとそれはルリアーナさんで…
「なんでしょうか?」
「ここでお菓子が買えるのでしょう~?」
「…夜はやっていませんよ」
「え? そんなぁ~」
どうやらルリアーナさんの空いている時間にやって来たみたいだけど流石に夜は店は開けていない。一般的なことだと思うんだがどうなんだろうか? まあ手持ちのお菓子を少し渡して帰ってもらったが。