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273. 休憩という名のお茶会

「素晴らしいお店ですね」


 お茶を飲みながらヨルさんの母親…そういえば名前は聞いたことがなかったかもしれないが、嬉しそうにそういった。テーブルの上にはそれぞれが購入した色んなお菓子が置かれている。楽しそうで何よりなんだが、今までいなかった大人の女性がこの場にいるというのは中々緊張するものがある…


 そして先ほどからエルナとミイがちらちらとレアナさんを見ていた。レアナさんはヨルさんの妹で声が出なく、聖女である響子に一度魔法をかけてもらったことがある。まあ実は別の理由からずっと喋らずにいただけだったようなんだが、まだ今日も一言も声は聞こえてこない。そんなレアナさんも2人が気になるのか同じようにちらちらと見ているみたいだ。似たような年だからお互い気になっているんだと思う。


「レアナさん、ここにいる人はみんな仲間みたいなものですよ? ちゃんと話をすれば大体わかってもらえるだろうし、黙っていて欲しいと思うことをむやみに話す人もいません。それとそこの2人は獣人なので人族のいるこちら側では表に出ることは基本ありません。お互いのことを話してみてはいかがでしょうか? いろんな話が聞けて楽しいかもしれまんよ」


 どうだ…っ せめて2人とだけでも会話が出来ればいい気分転換になると思うんだが。


「あのリョータさん。少しレアナさんとお散歩してきてもいいですか?」

「ですか~?」

「ああもちろんだ。一応危険な場所はないと思うが山はやめておけよ」


 ミイは無理して真似しなくていいのにな~

 戸惑っているレアナさんにエルナが手を差し伸べていた。母親の方をちらちらと見ながらもその手を取り3人は店の外へと出ていく。レアナさんもちゃんと会話が出来る友達くらい欲しいだろうからね。うまくいくといいね。


「それにしても一体何がおこっているのでしょうか?」


 手に持っていたコップをテーブルに置きヨルさんの母親はたけと雪乃に視線を送っている。さっきお茶会を始める前に軽く自己紹介をして2人のことを知ったから聞いてきているんだろうが、やっぱり気になるんだな。勇者と大賢者がこんなところにいるんだし。2人はダンジョンにいるという情報くらいしかきてなかったんだろう。そんな2人がここにいれば驚くわな。というか王都でのことはまだここまで情報が来ていないってことか…


「それはこちらも聞きたいくらいなので…」

「あらそうなの?」


 流石にヨルさんの母親まで巻き込んだら怒られそうなので適当に濁しておくことにした。


 休憩という名のお茶会を俺はそうそうに切り上げ港町トリィへ。ここからは船での移動になる。テレポートのレベルよ早く上がれと切実に思う。今回は誰も表に出ていられないので自分でちまちまと箱庭から出て港への到着を確認しないといけないんだ。つまり船の上で誰かと関わってしまうと箱庭に引きこもれないということでもある。今まで俺はルーとシズクと響子に任せていたので知らなかったんだが、やはり船旅というのはやれることも無いのでよく色んな人に話しかけられるものなんだそうだ。今まさに俺も話しかけられている。無理やり本日の最終便に乗ったのが失敗だったか…せめてルーがいてくれたらよかったんだがな。ちなみにルーは馬車の馭者をする必要がない今エルフの里に帰ってもらっている。元からそういう話だったからね。ジエルの世話という仕事もあるのであまり拘束してはいけない。

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