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268. 撤退

 御神木様の話が終わると雪乃は驚いた顔のままゆっくりとたけの方を見た。流石御神木様といったところか2人の御神木様の情報は共有されていたみたいだ。たけが何度もこの世界へと召喚された勇者だという話も含まれていた。


「武に巻き込まれてたんだ私達…」


 いや事実だけども問題はそこじゃない。


「御神木様を使った召喚魔法というのは?」

「そのままの意味じゃ。勝手に人の体を材料にしよってからにっ」


 そう御神木様が話した内容には御神木様を材料とした召喚魔法を作ったやつらがいるという話があった。つまり召喚魔法が完成しているということだ。


「まあそれも完全じゃないようだが」

「完全じゃない?」

「生贄…そうじゃ生贄がいるといっておった」


 ということはその生贄が手に入らなければ召喚魔法は完成しないし、御神木様を元の場所に植え直し成長させれば召喚自体が出来なくなるということか。


「ちなみに生贄は何を?」

「獣の血じゃ。それも真っ白な毛色をしたやつのな。大体が色んな毛色が混ざった獣が多いじゃろうから簡単には手に入らんのが救いかの」

「なるほど…」

「そういえばおぬしが連れておる獣は真っ白じゃのう…気をつけよ?」


 その言葉に俺はどきりとした。気を付けてと以前ジエルに言われたことを思い出す。気のせいじゃなければ色んな事が繋がっているような気がするな…奪われてしまった御神木様、召喚されてしまったたけ、狙われたネコルー、ネコルーを狙ったダルシア男爵、そして巻き込まれた俺たち。無事御神木様を成長させられればもう2度と召喚されることはなくなる。いやそれは言いすぎだ。ひとまず俺たちが生きている間の平和が守られるっていったところか。また誰かが御神木様を引っこ抜いて同じことをしないとも限らない。まあそんなことが起きないための巫女なんだし。


「俺…」


 おっとずっと喋らないのでたけのことを忘れていた。色々聞かされて一番驚いているのはたけだろう。


「え? 何も覚えていないのに3人の子持ちなのか??」


 …驚くとこそこなんだ。まあ記憶がないんだからいろいろ言われたって実感わかないからそんなもんなのかな。だけど子供だけは存在するので避けて通ることができない事実だ。


「まあそうなんだけどさ、子供達も父親の顔は覚えていないと思うぞ」

「だがここはやはり責任を取らないといけないんじゃないかっ」

「そうかもな。だがその子供達もすでに俺たちと一緒に行動しているからすぐに会えるぞ? だからまずはここから出ようか」


 たけと雪乃が頷いたのでテントを片付けてもらい俺たちはテレポートを繰り返し地上まで向かうのだった。階層を無視できないので48回テレポートを繰り返すのは魔力がたくさんあるとはいえ結構疲れる作業だったよ!


 地上へと戻って来た俺たちはダンジョンの外でテントを設置し一度休憩をとることにした。これからのことをお互いちゃんと話し合わないといけないからな。


「俺たちは予定通り御神木様を植える作業に戻るがたけたちはどうするんだ? 大人しく城へもどるのならここでお別れだが」

「…いや、俺は良太たちについて行こうと思う。勇者の仕事なんてもうごめんだな」

「えっ 武がそうするなら私もそうするに決まってるじゃない! 賢者だけ残ったって相手だって困るもの。それにやっぱり知り合いがいるのが一番よ!」

「なら俺たちと同じ行動指針でいいってことだな」

「すまん良太よろしく頼む」


 ということならまずは顔合わせか…


「御神木様、少しの間ならここで一人でも大丈夫か?」

「うむ、魔力が無くならなければ大丈夫じゃ。ちとさみしいが大人しく…というかそもそも一人で出歩けんのじゃよ」


 そういえばそうだったな。響子にちょっとお祈りしてもらっておけば大丈夫そうだ。

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