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263. 緊急依頼

 朝のお祈りと朝食を済ませると俺と響子と御神木様は宿を後にし、テレポートを繰り返して王都までやってきた。


「ここは違うぞ?」

「ちょっとここに用事があるんですよ。それが済みましたらさらに南へ向かいますので、それまでお待ちください」

「ふむ、自分で移動出来ないのが不便じゃな」


 俺たちは早速まずは情報集めを始める。ちなみにヨルさんは箱庭経由でフィレーネに戻り、ジルベスターさんは護送もあるので馬車で王都まで向かっているそうだ。まあこれは仕方ないよね。箱庭をたくさんの人に教えるわけにはいかないから。親しくもない人たちに教えて中で過ごしている仲間たちに何かあったらと思うと怖い。まあとにかく情報を集めなければいけない俺は冒険者ギルドへと足を運んだ。するとこの間話を聞かせてもらったドワーフの人がお酒を飲んでいた。また昼間から酒ですか…仕事はどうしたんだろうね?


「調子はどうですか?」

「おおっ この間の! そうだ何が聞きたいっ もちろんこの間の酒が条件だぞ!」


 がっちりと俺の肩を掴み酒を渡すまで逃がさないという姿勢を取られた。余程気に入ったんだろうね…というか酒臭い!


「じゃあ勇者の動向を」

「あーありゃずっとダンジョンに籠っておるぞっ でも流石にそろそろ出てくるんじゃないか?」


 もしかしてあれからずっと出てきていないのか? そんな会話をしていると周りが何だか騒がしくなってきた。


「え…これはまずいですね。緊急依頼を張り出します!!」


 受付で職員の人が声を張り上げた。どうやら緊急依頼というものが張り出されるらしい。その緊急依頼を張り出された場所には人だかりができ、ちょっと近づけそうにもない。人が引くか見て戻って来た人から話を聞いたほうがよさそうだね。まあ少しは聞き耳で聞こえてくる会話で予測は出来そうだけども…


「おいおい大丈夫なのか?」

「聖女は?」

「勇者が…」

「私には無理ね」


 …聖女、勇者か。これはちゃんと見ておいた方がいい内容なんじゃないか? しばらくすると人が減り出したので俺と響子もその緊急依頼というのを見るために立ち上がった。


「…え?」

「そんなっ」

「ほう…49層まで誰が助けに行けるんだ?」


 横にはドワーフのおっさんもついて来て見ていた。そういえばまだお酒を渡していないから逃げられないようについてきたのか…おっさんにお酒を渡すとテーブルに戻っていく。


「りょーちゃん…」


 響子が心配そうに俺の顔を見た。この紙に書かれていたのは…49層に取り残された勇者たちの救出。


「…?」

「りょーちゃん?」

「巫女、こやつはこの文章になにやら疑問を感じているようじゃの」

「え?」

「響子一度宿をとるぞ」

「う、うん…」


 俺たちは冒険者ギルドを出てすぐ近場で宿をとった。そして部屋にルーとシズク、それとなぜか来ていたヨルさんとノノさんも一緒にやってきた。


「狭いな…」


 当り前だ。一時的に話し合うために借りただけの宿だから一人部屋なんだ。俺はギルドに張り出された緊急依頼についてみんなの意見を聞きたいと思って集まってもらったので、その内容を伝える。


「ん~? 何がおかしいんだ??」

「おかしいですよシズクさん。私達が少し前にそのダンジョンに行ったときは到達階層は20でした」

「それで?」

「だから49階層というのは勇者様たちしかたどり着けていないということです」

「あーなるほどなっ」


 黙って話を聞いていたヨルさんが気がついたみたいだ。


「どうして49階層に勇者が取り残されているとわかるのか…だろう?」

「ああ、もしかして同行者がいて2人を置いて逃げた可能性もあるが…響子、お前そんな階層から一人で戻れるか?」

「ん~~…あっ 帰還石! あのダンジョン下の方へ行くとたまーに魔石に混ざって帰還石が出てたっ その名の通りダンジョンの1階まで戻れるアイテムだよ!」

「それって一人用か?」

「手を繋いでる人も一緒に戻れたはず…あれ?」


 やっと響子も気がついたみたいだ。心配そうにしていた顔をさらに青ざめその場に座り込んでしまった。何らかの理由で帰還石を持たされていなかったたけ達はその場にいた誰かに置いてかれたってことだ。

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