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262. 毎朝のお祈り

 しばらくその光景を俺たちは眺めていたが、どうやらダルシア男爵を護送するために出発するらしく、俺たちもそれと一緒にこの場所を去ることにした。ちなみに御神木様の体はビニール袋に土を詰めてそこに根を埋め、そのビニール袋の上からタオルでくるまれ響子が抱えている。なんでも若芽は巫女の傍で魔力に触れていないと枯れてしまうのだとか何とか。そして…


「ううなんで私だけぇ…」

「不服か?」

「だって~」


 エスカティアの宿の一室には響子と御神木様と俺が。この町でこれからの行動を話し合うために箱庭へ入ろうとしたところ、響子が箱庭に入れなくなっていたのだ。原因は御神木様。実際に入れないのは響子ではなかった。どうやら箱庭はこの世界と完全に違う世界なのか御神木様だけは中に入ることが出来なかったのだ。ちなみに話し合いはすでに終わっていて、御神木様を植える元の場所へ行きたいのだが本人が地図を見ても場所はわからないみたいで、南へと進むことだけしか決まっていない。なので途中で寄ることになっている王都で今度こそたけ達を連れ出しておきたいと思っている。で、箱庭に入れないということは宿に泊まるしかないわけで…


「俺かルーかジエルの誰か御神木様を植えるまで傍にいるから完全に一人じゃないぞ」

「なら出来るだけりょーちゃんで」

「まあ箱庭の関係上そうなるわな…だけど宿で寝るのは流石に簡便してくれ」

「…じゃあ寝るとき以外はりょーちゃんで!」

「はいはいわかった…でも用事がある時はあきらめてくれ」


 今晩の宿はルーに任せて俺は箱庭に戻り寝ることにした。早朝ルーと交代し、ルーは箱庭経由で一度エルフの里へ戻る。日課のジエルのお祈りの付き添いだ。そういえばこっちの御神木様はお祈りはいいんだろうか? まだ寝ている響子の手に触れ御神木様に聞いてみることに。


「御神木様、もう一人の御神木様は毎日お祈りを貰っているみたいですけどあなたはいらないのですか?」

「ん? それは当たり前のことになるのじゃが…誰でもいいので魔力は貰わんと体が維持できんのじゃよ?」


 あーやっぱり…つまりジエルが外出していた間は他の人が代わりに魔力の供給をしていたってことなんだ。


「巫女が起きたらもらうつもりだったのじゃが…なかなか起きん」


 まあそれは仕方がないわ。昨日無理やり魔力の回復を繰り返して消費をするなんてことをやったんだから疲れくらいでる。


「りょーちゃん…おはよ」

「ああおはよう?」


 そんな話をしていたらうるさかったのか響子が起きた。気のせいか顔を赤らめ布団を深くかぶりなおしているが。あれか、やっぱり寝てるときに交代はよくないのかな。寝顔を見られて恥ずかしいとかかもしれんし。


「巫女や、祈りを捧げよ」

「…うえぇ? そうだこの子もいたんだっけ…っち」

「? 響子祈りだってよ」

「わかったわよ…あっ りょーちゃんちょっと部屋出てて!」


 宿の部屋を追い出された。部屋の中から聞こえてくる音からすると多分着替えをしているんだと思うが…


「もういいよ~」

「ああ」


 うん、やっぱり着替えだったね。スキルの効果か聞き耳のせいで近くの音はある程度聞こえてしまうのは中々厄介だと思う。


「じゃあお祈り終わらせちゃうね」

「しっかりと祈るがいい…」


 響子が御神木様の体に向かって立膝の姿勢で手を組み祈り始めた。消えかけた御神木様に魔力を渡したときのように響子と御神木様が光り出す。ほんとこれだけ見てれば響子も立派な巫女なんだけどな~

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