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260. 聖女らしさというか巫女らしさ

 俺と響子とシズクが外を見て騒いでいるとヨルさんが近くに寄ってきた。


「どうかしたのか?」

「ヨルさんあんなところに女の子がいるんだが」

「ん~~? 女の子なんていないぞ??」


 いやでも確かにいるんだが。響子もシズクも不思議そうな顔をしている。ジルベスターさんの方を見るが首を横に振るだけでやはり見えていないようだ。


「あの…」

「ん?」

「女の子というのはもしかしてあの今にも朽ちてしまいそうな木の足元にいたりしますか?」

「ルーも見えるのか?」

「見えません。ですが…」


 ルーはそういうと響子の隣へとやって来てその手を掴んだ。


「やっぱり…こうすると見えるようですね」

「え…あっ」


 なるほどそう言うことなのか! 俺は響子に頬を触れられていた。シズクは響子に話しかけるときに肩を掴んだ。そして今ルーは手を繋いでいる。3人とも共通するのは響子に触れていることだ。これが意味するところはつまり…


「あの女の子が…御神木様!!」


 巫女である響子に触れないと見えない存在なんて、ジエルの時に体験した御神木様くらいしか知らない!


「でも今にも消えてしまいそうです…」

「…っ 響子行こう!」

「うんっ」


 俺は響子の手を掴むと建物の外へと飛び出した。すでに手を繋いでいたルーも一緒に走り出し、肩に手をかけていたシズクは転びかけた体制を直して後ろから走ってついてきた。ヨルさんとジルベスターさんも見えてはいないけど状況がわかったのかその後をさらについてきた。


「……巫女?」

「はい」

「遅かったの…待ちくたびれて……」

「ごめん2人ともちょっと手を放すよ~っ」


 響子は御神木様のすぐ傍まで行くとその場に膝をつき祈るような姿勢を取った。すると響子の体がぼんやりと光り、その光が御神木様…というかその朽ちかけた木の根元に繋がるように光の線がはしる。少しだけ幻想的なその現象に聖女というか巫女らしさを響子に感じるね。普段はそんな雰囲気のかけらもないのにな。


「ほう…」

「綺麗だ…」


 ほら、ジルベスターさんとヨルさんが騙されている…確かに綺麗だけどもっ そうなんだけどもっ


「うむ…とりあえずもう大丈夫じゃ。それにこれ以上は巫女の体のほうがもたん」

「あ…」

「響子?」

「ううう…りょーちゃん魔力切れ~」


 なんだ突然ふらつくからどうかしたのかと思ったらただの魔力切れなのか。


「じゃあこれ飲んでおけよ」

「あー…うん。そうなんだけどね。でもそうじゃないんだ~」


 よくわからんことを言っているがひとまず響子に初級魔力回復ポーションを渡した。初級だけども飲んでおけばその状態も治るからね。文句をいいつつポーションを飲んでいる響子の開いていた左手を掴み俺は御神木様に話しかけることにした。


「御神木様」

「なんじゃ?」

「なんでこんな場所に?」

「しらん。自分できたわけじゃないからな。あいつら無理やりこんな北の方まで連れてくるから…ここは肌にあわんのじゃ」

「つまりもっと南の方に元はいたということですか」

「そうじゃな。このままここで過ごし続けることはでんぞっ」


 つまりはこの御神木様をもっと南…もともといた場所に戻してあげなければいけないってことなんだな?

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