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259. ダルシア男爵捕まる

 人間が住む土地と異種族がすむ土地を区切るために設置された境界門。昔は船という海を渡る手段がなくこの門をくぐりお互い行き来をしていたという話だ。船が出来た今使われることが無くなったこの門はサビれ長いこと閉まったままだった。その門が今開いている。


「くっそ~~~~私はまだ上に上れるのだぁぁぁぁぁぁっ」


 その門の向こう側から誰かのさけぶ声が聞こえてきた。ヨルさんとノノさんに続いて門の中をのぞくと、いくつか建物がありその手前で地面に押さえつけられている状態のダルシア男爵が目に入る。多分叫んでいたのはこいつだろう。


「あ…っ そこの平民!! お前のせいで私は今こんな目にあっているんだ!」

「お、俺?」


 ひどい言いがかりだ…ダルシア男爵からいやなことをされたことはあるが俺が何かしたことはないぞ。


「そうだっ あの白いネコを大人しくこっちに渡していればよかったのだ!!」


 意味が分からない。奪おうとはしてきてたけど、欲しいとは言われたことはない。どうしても欲しかったのなら俺が手に入れた初期のころに言ってくれれば多分大人しく渡したと思うし、仲良くなってきてからじゃはいどうぞなんて渡すわけがないだろう?


「一度も欲しいと聞いたことがないですが?」

「うるさいっ 貴族が欲しそうにしていたらどうぞと差し出すのが当たり前なんだ!」

「ダルシア男爵…詳しいことは後程聞かせてもらいますので大人しくしてくださいね」


 ジルベスターさんの合図でダルシア男爵が連れていかれた。結局なんでネコルーを欲しがったのかがわからないままなんだが…


「さて、ところでなぜ君たちがここに?」

「ちょっとまってくださいね」


 立ち話もどうかということで建物の一つへ入りそこでジルベスターさんから話を振られていた。その話をするためにも関係者を呼んだ方が早いと思うので、ルーとシズクと響子をイヤリングで声をかけ箱庭を開き呼び出している。


「…エルフに聖女、それとこちらの獣人は初めて会うね」


 そういえばシズクは初めてか。俺はジルベスターさんになぜ俺たちがここまで来たかを順を追って話を進めた。エルフの里で御神木様と話した会話、それにかかわるシズクの話、それと従属の腕輪を付けられていて逃げてきた響子のことを。


「ふぅぅーーーーー…異世界の人はこれほど厄介なものなのか」

「まったくだよな」


 なんでヨルさんに言われないといけないんだ。そもそもこの世界に俺たちが来れてしまったことが問題なのに。


「それにしても従属の腕輪か…たしか勇者召喚を行ったのは宮廷魔術師とその魔術師団と言っていたかな」

「じゃあそいつらが腕輪を?」

「そうかもしれないし、さらに上からの命令かもしれない」


 上からとなると…誰だ? ほんとそういったのは全然わからん。


「王族か」

「そうだな。まあ王族と言っても血筋だけで見たらたくさんいるから予想もつかないし、立場的に手が出せないのが痛いところだ」


 となると王族の中にその従属の腕輪で従わせようとしたやつを見つけたうえで、そいつよりも少しでも立場が上の人と仲良くならないといけないわけか…無理じゃね? 王族なんてそもそも一人もあったことがない。


「…女の子? りょーちゃんあそこに女の子がいるっ」

「は?」


 大人しく話を聞いていたと思った響子が突然外を見てそんなことを言い出した。


「外にいるのはジルベスターさんが連れてきた人達だけだと思うが?」

「もうっ りょーちゃんよく見て」

「いでっ」


 響子が無理やり俺の頭を両手でつかみ首を見せたい方向へと動かした。無理やりやられたことがある人ならわかると思うがこれが中々痛い。ステータスのせいかそんな痛みはすぐ引いてしまうが…


「おいキョーコお前そんな無理やり…あ! 嘘だろう??」

「……え?」


 響子に無理やり向けさせられた視線の先には小さな女の子が座り込んでいた。

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